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JAMA Pediatrics誌から
NICU患者の大腸菌の抗菌薬感受性の変遷
2009~17年の耐性割合に経時的変化はないが、アンピシリン耐性は6割以上

 大腸菌(Escherichia coli)は新生児期の重篤な感染症の起炎菌として最も頻度が高い。米国Philadelphia小児病院のDustin D. Flannery氏らは、2009年から2017年までの期間に、米国内のNICUに入院していた患者から分離された大腸菌株の薬剤感受性の実態と経時的な変化について検討し、JAMA Pediatrics誌電子版に2020年11月9日に報告した。

 米国小児科学会のガイドラインは、新生児早発型敗血症(EOS)の管理方法として、アモキシシリンとゲンタマイシンの併用などを推奨している。一方で、遅発型敗血症(LOS)が疑われる患者に対する経験的な抗菌薬レジメンは、その地域で分離される大腸菌の抗菌薬感受性パターンなど、疫学的な調査結果に基づいて決定されており、施設ごとに異なる場合が多い。

 米国には、NICUから検出される大腸菌の抗菌薬感受性に関する大規模な調査データがなかったことから、著者らは経験的な治療のための抗菌薬選択に役立つ情報を収集して分析することにした。

 後ろ向きコホート研究のデータ収集には、米国内の大学病院と市中病院に入院した患者の情報を登録しているPremier Health Databaseを利用することにした。Premierには、診断と治療コード、患者特性、保険の種類や支払いデータ、医薬品の調剤データなどに加えて、詳細な微生物学データが含まれているからだ。対象は、2009年1月1日から2017年12月31日までにNICUに入院した新生児で、血液、脳脊髄液、尿から大腸菌が分離培養され、抗菌薬感受性試験が行われた患者とした。同じ日に複数の株が培養された場合は、血液培養の結果を優先した。

 主要評価項目は、大腸菌の抗菌薬感受性の変化とした。抗菌薬のカテゴリーは米国CDCの定義に従って、アンピシリン耐性、アミノグリコシド系耐性、ESBL(基質拡張型β-ラクタマーゼ産生菌)、カルバペネム耐性について検討し、それぞれに非感受性(耐性または中間感受性)の大腸菌に感染していた新生児の割合を推定した。

 2009~17年に米国のNICU170施設に、11万7484人の乳児が入院していた。このうち733人(0.6%)の乳児が大腸菌感染症を起こしており、抗菌薬感受性試験が実施されていた69施設の721人のデータを分析の対象とした。対象者の60.2%が男児で、39.8%が女児だった。694人(96.3%)は大腸菌感染症を1回だけ経験していた。60.6%は出生体重が1500g未満で、69.5%が生後3日目以降に発症するLOSだった。最初に大腸菌が分離されたのは血液標本だった患者が54.5%、尿から分離された患者が44.7%、脳脊髄液から分離された患者が0.8%だった。大腸菌感染の最初のエピソードは中央値で生後14日(四分位範囲1~33日)に起きていた。

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