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JAMA誌から
チカグレロルはクロピドグレルより優れるか?
2011~19年の米国と韓国のPCI患者に対する診療データの解析

 韓国亜洲大学校のSeng Chan You氏らは、急性冠症候群(ACS)で経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた米国と韓国の患者を対象に、アスピリンと併用してチカグレロルまたはクロピドグレルを投与された場合の12カ月間の純臨床有害事象(NACE)の発生率を比較する後ろ向き観察研究を行い、NACEの発生率には差はなく、出血イベントや呼吸困難はチカグレロルに多かったと報告した。結果はJAMA誌2020年10月27日号に掲載された。

 現行のガイドラインは、急性冠症候群(ACS)患者にアスピリンと併用する血小板P2Y12受容体拮抗薬として、チカグレロルを推奨している。これは主に、チカグレロルとクロピドグレルの出血リスクと血栓イベントを比較したPLATO試験の結果に基づいている。しかし、PLATO試験では北米とアジアの患者では必ずしも利益が示せず、呼吸困難が誘発される可能性も指摘されている。そこで著者らは、実際の診療データを用いて、ACS患者に対するチカグレロルとクロピドグレルの利益とリスクを検討することにした。

 対象にしたのは、米国の2種類の電子健康記録データベース(US Optum HERとUS IQVIA Hospital)と、韓国の診療報酬請求データベース(Health Insurance Review and Assessment service:HIRA)だ。3つのデータベースから、2011年11月から2019年3月までに、ACSと診断され初めてPCI治療を受けた20歳以上の患者を抽出した。PCIを受ける前に、1年以上の診療記録がない患者、既に脳梗塞・脳出血・消化管出血を経験した患者は対象から除外した。PCIを受ける前からプラスグレル、クロピドグレル、チカグレロルを投与されていた患者も除外した。

 次に、データベースから利用可能な臨床特性データを用いて傾向スコアを推定し、one-to-one greedy matchingを行い、チカグレロルを投与された患者群とクロピドグレルを投与された患者群からペアを選び出した。

 主要評価項目は、PCIから12カ月間のNACEとした。NACEは、虚血性イベント(心筋梗塞の再発、血行再建術施行、脳梗塞)と出血性イベント(脳出血、消化管出血)からなる。副次評価項目は、12カ月間の、NACEに死亡を加えた複合イベント、総死亡、虚血性イベント、出血性イベント、主要評価項目の構成要素のそれぞれ、そしてチカグレロルの有害事象として知られる呼吸困難とした。データベースごとのハザード比をプールし、ランダム効果メタアナリシスを行って、サマリーハーザード比を推定した。

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