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JAMA Network Open誌から
ビマグルマブはサルコペニアを改善するか?
副次評価項目の一部に効果が見られるも主要評価項目に有意差なし

 Novartis Institutes for BioMedical ResearchのDaniel Rooks氏らは、地域在住の高齢のサルコペニア患者に対して、適切な食事と軽い運動に加え、抗アクチビンII型受容体抗体ビマグルマブ(bimagrumab)またはプラセボを投与するランダム化比較試験(RCT)を行い、ビマグルマブ群にプラセボ群に優る身体機能の改善を見いだせなかったと報告した。結果は2020年10月19日にJAMA Network Open誌電子版に掲載された。

 最大で高齢者の13%に認められるというサルコペニアは、転倒と骨折のリスクを高め、自立した生活を困難にし、慢性疾患の悪化を招く可能性がある。万人に有効な治療法はないが、栄養状態を改善し、日常の身体活動量を増やし、軽い運動をすることが推奨されている。しかし、それらの実践は多くの高齢者にとって容易ではない。

 最近では、ミオスタチン/アクチビンII型受容体経路を抑制するアプローチが、骨格筋同化作用を促進し、骨格筋の肥大を誘導できること、これにより筋力が向上し、身体機能が改善する可能性があることが報告されている。そこで著者らは、この受容体を阻害する完全ヒトモノクローナル抗体製剤ビマグルマブのサルコペニア治療における有用性を検討してきた。これまでに、歩行速度の遅いサルコペニア患者にこの抗体を投与すると、除脂肪体重が増え、筋力が高まり、歩行速度が上昇することなどが示されていた。

 そこで今回は、地域在住のサルコペニア患者を対象に、栄養摂取の最適化と軽い運動からなるからなる標準的な介入にビマグルマブを追加した場合の安全性と、骨格筋量、筋力、身体機能への影響を、標準治療のみと比較する二重盲検のフェーズ2RCTを、13カ国の38施設で、2014年12月から2018年6月まで実施した。

 組み入れ対象は、骨格筋量指数(アジア人向けまたは非アジア人向けの基準に合致する)と歩行速度(4m以上歩く速度が0.3m/秒以上で0.8m/秒未満)に基づいてサルコペニアと診断された70歳以上の高齢者。栄養士の評価を受け、体重1kg当たりの1日の食事摂取量が20kcal/kgを超えており、蛋白摂取量が0.8g/kgを超えていることとした。食事の条件を満たしていない高齢者は栄養カウンセリングを受け、4週後に再評価し、基準を満たした場合、参加可能とした。またMini-Mental State Examination(MMSE)スコアは21点を超えていることとした。

 参加者は、ビマグルマブ700mgまたはプラセボに割り付けて、4週ごとに6回計24週間投与した。運動はそれぞれの人に適したプログラムを提供し、日記に記録してもらった。食生活評価とカウンセリングを行い、試験期間中に経口サプリメントとビタミンDを提供した。

 主要評価項目は、ベースラインから24週間後までの身体機能の改善とし、Short Physical Performance Battery(SPPB)スコアで評価した。SPPBは、バランステスト、歩行テスト、椅子立ち上がりテストの3要素からなる。スコア幅は0~12で、高スコアほど身体機能は高い。副次評価項目は、6分間歩行距離、歩行速度(4m超歩行時)、握力、除脂肪体重、体脂肪量と、安全性に設定した。

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