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JAMA Network Open誌から
ロチゴチンはアルツハイマー病に好影響あり?
軽症から中等症のAD患者のフェーズ2試験で副次評価項目に有意差

 イタリアSanta Lucia Foundation Istituto di Ricerca e Cura a Carattere Scientifico(IRCCS)のGiacomo Koch氏らは、軽症から中等症のアルツハイマー病(AD)患者に経皮吸収型ドパミンアゴニスト製剤ロチゴチンとプラセボパッチを用いるフェーズ2試験を行い、主要評価項目に有意差は見られなかったが、ロチゴチンは患者の日常生活活動の能力の低下を遅らせ、前頭前野機能を高める作用を持つ可能性を報告した。結果はJAMA Network Open誌電子版に2020年7月15日に掲載された。

 ドパミン作用性神経の伝達障害が、ADにおける認知機能不全に関係することを示すエビデンスが蓄積されている。たとえば、AD患者の剖検データは、患者の脳の側頭葉と前頭葉において、ドパミン受容体が顕著に減少していることを示した。こうしたデータに基づいて、L-ドパや、脳内のドパミン濃度を上昇させるセレギリンをAD患者に投与する試みも行われたが、進行度の異なる患者を対象とする複数の試験は、一貫した結果を示せていなかった。

 先頃行われた、ADモデル動物にドパミン受容体刺激薬を投与した実験では、アミロイドの蓄積の抑制と記憶力の改善が示された。また、腹側被蓋領域におけるドパミン作用性神経の変性によって記憶障害が生じることも示唆された。さらに、ADの初期段階にある患者では、ドパミン受容体刺激薬が、コリン作動性神経の伝達と、皮質の可塑性を改善することも示されている。そこで著者らは、ドパミン受容体を刺激する薬のロチゴチンを、標準治療であるアセチルコリンエステラーゼ阻害薬に追加すると、AD患者の認知機能に影響が現れるかどうかを検討する、フェーズ2ランダム化比較試験をイタリアで行った。

 組み入れ対象は、年齢50~85歳までの、軽症から中等症(Clinical Dementia Rating;CDRスコアが0.5から1、MMSEのスコアが18から26)のADで、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬を6カ月以上使用しており、腰椎穿刺で採取した脳脊髄液のバイオマーカー解析を受けた患者。MRIやCT検査を含む神経学的評価も実施した。錐体外路兆候のある患者、脳卒中・神経変性疾患・精神疾患の病歴がある患者、6カ月以内に別の薬(抗精神病薬、抗パーキンソン病薬、抗コリン薬、抗てんかん薬など)の治療を受けている患者は除外した。

 条件を満たした患者は、1対1の割合でロチゴチン群とプラセボ群に割り付けた。両群ともアセチルコリンエステラーゼ阻害薬による治療に、割り付け薬を追加した。追加治療は24週間行い、経皮吸収型のパッチ製剤を皮膚に貼り付けた。ロチゴチンは最初の1週間は1日2mgからスタートし、残りの23週間は1日4mgとした。プラセボ群にはロチゴチンを含まない同じ材質のパッチを使用してもらった。治療の有効性は、ベースラインと24週時点の状態を評価することにした。

 主要評価項目は、Alzheimer's Disease Assessment Scale-cognitive subscale(ADAS-cog11)スコアの変化とした。ADAS-cog11スコアは認知機能ドメイン(記憶、言語、見当識、実行機能など)を0~70点で評価し、点数が多いほど認知機能障害が進行している。副次評価項目は、ADCS-ADLスコア(0~78点で評価しスコアが高いほどADLが良好)の変化、Frontal Assessment Batteryスコア(0~18点で評価しスコアが高いほど認知機能良好)の変化、Neuropsychiatric Inventoryスコア(0~144点で評価しスコアが高いほど障害が悪化)の変化とした。前頭前野の活動性は、経頭蓋磁気刺激法と脳波計測を組み合わせたTMS-EEGにより評価した。

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