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JAMA Dermatology誌から
アトピー性湿疹と癌の関連を調べる研究
大半の癌とは関連が見られないが非ホジキンリンパ腫は例外か?

 英国London大学熱帯衛生医学大学院のKathryn E. Mansfield氏らは、イングランドとデンマークの診療データを用いたコホート研究を実施し、アトピー性湿疹患者と条件をマッチさせた対照群がさまざまな癌を発症するリスクを比較して、ほとんどの癌はアトピー性湿疹との関連は見られなかったが、非ホジキンリンパ腫のリスクは増加していたと報告した。結果はJAMA Dermatology誌電子版に2020年6月24日に掲載された。

 アトピー性湿疹患者には免疫系の調節異常が見られ、免疫抑制薬も治療に用いられるが、アトピー性湿疹と癌の関係は明らかではなかった。これまでの研究では、癌のリスクが減少するという論文も増加するという論文もあり、一貫した結果は示されていなかった。そこで著者らは、アトピー性湿疹患者と癌のリスクを調べるために、大規模なコホート研究を計画した。

 マッチドコホート研究には、イングランドとデンマークの全国規模の診療データを用いることにした。イングランドでは、1998年1月2日から2016年3月31日までにClinical Practice Research Datalink(CPRD)に登録されていた、プライマリケアを受診した患者のデータを利用した。デンマークでは、1982年1月1日から2016年6月30日までに診療データベースに登録されていた国民全体のデータから、アトピー性湿疹と診断されていた患者を抽出した。

 イングランドでは、アトピー性湿疹患者と、年齢、性別、受診年度、かかりつけ医がマッチするアトピー性湿疹ではない成人を、患者1人当たり5人まで選出した。デンマークでは年齢は限定せずに、アトピー性湿疹患者と、年齢、性別、受診年度がマッチする、アトピー性湿疹ではない人を、患者1人当たり10人まで選出した。英国で成人患者に限定したのは、CPRDの追跡期間の中央値が5年と短いため、まれな小児癌の検出が困難と予想されたためだ。どちらの国でも、癌の既往があった患者は除外した。

 主要評価項目は、あらゆる癌のリスクと、各部位に特異的な癌のリスクに設定した。部位特異的な癌は、患者数が多い、または過去にアトピー性湿疹またはアトピーとの関係が示されていた癌とし、肺癌、乳癌、前立腺癌、膵臓癌、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、中枢神経系の癌、メラノーマを選んだ。一方で、非メラノーマ皮膚癌と皮膚リンパ腫は除外した。湿疹患者は頻繁に皮膚の検査を受けるため、それらが検出される可能性が高いからだ。

 共変数として、年齢、性別、暦年、社会経済状態を調べた。イングランドでは重複剥奪指数を、デンマークでは最終学歴、パートナーの有無、総個人所得を社会経済状態の指標に用いた。生活スタイルの要因として、BMI、喫煙習慣、飲酒習慣も調べた。

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