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JAMA Intern Med誌から
DOACの出血リスクを増加させる抗菌薬の併用
クラリスロマイシンはアジスロマイシンに比べ大出血による入院が増える

 カナダOttawa大学のKevin Hill氏らは、直接経口抗凝固薬(DOAC)を使用している高齢者にクラリスロマイシンを処方すると、アジスロマイシンを処方した場合に比べ、大出血リスクが有意に増加するというコホート研究の結果を報告した。論文はJAMA Intern Med誌電子版に2020年6月8日に掲載された。

 DOACのうちダビガトランは、主に薬物を細胞外に排出するP糖蛋白質(Pgp)トランスポーターにより代謝される。一方アピキサバンやリバーロキサバンは、主にチトクロムp450のCYP3A4酵素によって代謝される。マクロライド系抗菌薬のクラリスロマイシンは、CYP3A4とPgpの両方に阻害作用を持ち、DOACとクラリスロマイシンを併用すると血中濃度が20~100%上昇し、凝固時間が長引くことが報告されている。クラリスロマイシンの添付文書でも、DOACは併用注意の欄に記載がある。しかし、これらの併用が実際の臨床現場で出血イベントの増加に結びつくかどうかは明らかではなかった。

 一方、同じマクロライド系抗菌薬のアジスロマイシンは、CYP3A4とPgpに対する阻害作用が小さいことが知られている。そこで著者らは、高齢者がクラリスロマイシンとDOACを併用した場合と、アジスロマイシンとDOACを併用した場合の、出血リスクを比較するコホート研究を計画した。

 コホート研究の対象者は、2009年6月23日から2016年12月31日までにカナダのオンタリオ州で、ダビガトラン、アピキサバン、リバーロキサバンの服用を開始した66歳以上の高齢者。DOACの使用開始後の処方歴を調べ、クラリスロマイシンまたはアジスロマイシンを併用していたサブグループを選び出した。併用前の90日間の処方歴を確認して、CYP3A4やPgpによる代謝に影響を与える可能性が高い、アゾール系抗真菌薬、タクロリムス、シクロスポリン、キニーネ類、リファンピシンを使っていた患者は除外した。血液透析や腎移植を受けていた患者も除外した。

 主要評価項目は、抗菌薬の併用開始から30日以内の大出血による入院または救急受診とした。大出血の部位は、上部消化管、下部消化管、脳内、くも膜下、その他の非外傷性頭蓋内出血と規定した。

 Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、大出血と抗菌薬の種類の関係を検討した。交絡因子として、年齢、性別、所得、居住地、併用開始年、併存疾患、過去5年間の入院および救急部門受診歴、処方薬の使用などに関する情報を収集した。

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