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JAMA Network Open誌から
エンパグリフロジンは実臨床でも有効
実際の患者は半数以上が臨床試験の除外例に該当するが有効性は同様

 デンマークAarhus大学病院のNicolai E. Munk氏らは、同国で2014年以後に実際にSGLT2阻害薬のエンパグリフロジンによる治療を開始した患者の特性を調べて、この薬の承認時にエビデンスを提供したフェーズ3試験の組み入れ条件に当てはまるかどうかを検討し、半数以上が除外例に相当する患者だったが、期待されたレベルのHbA1c改善効果が得られていたと報告した。結果はJAMA Network Open誌電子版に2020年2月7日に掲載された。

 承認された新薬が実際に臨床現場で使用されると、臨床試験で示されたほどの有効性が得られない事例が報告されている。その一因は、臨床試験ではできるだけ交絡因子を減らすために様々な組み入れ条件を設定するが、現実の患者は合併症があるなど試験参加者と患者特性が異なるためだ。そこで著者らは、デンマーク国民の医療データベースから、新たにエンパグリフロジンによる治療を開始した糖尿病患者を抽出して、治療前後のHbA1cの変化を調べるとともに、承認に際してエビデンスを提供した4つのフェーズ3ランダム化比較試験(RCT)参加者と患者特性を比較することにした。

 対象は、デンマーク北部の住民で2014年1月~2018年12月までの期間に、新たにエンパグリフロジンによる治療を開始した2型糖尿病患者。治療開始前に少なくとも1年以上その地域に居住していることも条件とした。

 患者特性として、エンパグリフロジン開始前のベースラインのHbA1c値、使用開始時の年齢、併存疾患(Charlson併存疾患指数を用いてスコア化)、外来受診歴と入院歴、糖尿病の合併症(細小血管症と大血管症)、肥満、心血管疾患治療薬の使用、直近のeGFR、LDLコレステロール値などに関する情報を得た。エンパグリフロジン以外の糖尿病治療薬の使用記録も調べた。

 承認前のフェーズ3試験では、エンパグリフロジンと併用が許可されていた血糖降下薬は、メトホルミン、メトホルミンとスルホニル尿素、ピオグリタゾン、ピオグリタゾンとメトホルミンに限定されていた。年齢では18歳未満の患者を除外しており、ベースラインのHbA1cは7.0%から10.0%に限定された。有効性の評価は割り付けから6カ月後に行われていた。

 また、RCTでの除外基準に該当するかを照合するため、BMI45超の肥満、肝疾患、腎疾患、急性冠症候群、3カ月以内の脳卒中やTIA、癌、肥満手術、コントール不良の内分泌疾患、造血機能障害、血糖降下薬アレルギー、妊娠や授乳の予定、飲酒、などの状態を確認した。除外基準は4つのRCTに共通するものを採用した。

 主要評価項目は、実際にエンパグリフロジンによる治療を開始した患者のうち、RCTの組み入れ条件を満たさない患者の割合と、使用開始から6カ月後までのHbA1c値の絶対減少量とした。

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