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JAMA誌から
合併症予防のための厳格な血糖管理は不要か?
軽度高血糖が持続するMODY患者の長期追跡では血管合併症は増えず

 生涯にわたり軽度高血糖状態が持続する若年発症成人型糖尿病MODY)患者を対象とした研究の結果、糖尿病関連合併症の罹患率は非糖尿病患者と差がないことが示された。英Exeter大のAnna M.Steele氏らが、JAMA誌2014年1月15日号に報告した。

 1型と2型糖尿病患者では、HbA1c値の目標値は7%未満に設定されている。しかし、治療を受けても、7%未満の状態を維持できる患者は少ない。また実際、7%を少し超えた程度の軽度高血糖で合併症は増えるかどうかのエビデンスは不足している。そこで著者らは、2型糖尿病に分類される単一遺伝子疾患であるMODYを対象とする横断的研究を、英国で実施した。

 MODY患者は、膵β細胞においてグルコースセンサーとして機能するグルコキナーゼ(GCK)の不活性化/機能喪失に関連する遺伝子変異をヘテロで有する。GCKが機能を失うと、通常よりも血糖値が上昇しないとインスリン放出が生じないため、インスリン分泌機能は正常だが、血糖値は高めになる。MODY患者は、出生時から継続して軽度の空腹時高血糖(99~156mg/dL)を維持し、HbA1cは5.6~7.6%を示すのが一般的だ。ただし、血糖降下治療が行われることは少ない。また、血中脂質量と血圧は健常人と同様に維持される。

 著者らは、GCK変異を有する患者に見られる慢性的な軽度高血糖と、微小・大血管合併症の有病率と重症度の関係を調べるために、08年8月から10年12月まで調査を実施した。

 対象としたのは、35歳以上で、GCK変異陽性のGCK群(99人)、GCK変異患者の家族(配偶者も含む)で糖尿病を有さず、GCK変異も持たない健常対照群(91人)、45歳以下で診断された若年発症の2型糖尿病患者(DM対照群、83人)。

 GCK群における年齢の中央値は48.6歳で、男性は20%。血糖降下薬を使用している患者は22%で、インスリン使用患者はいなかった。健常対照群における年齢の中央値は52.2歳、男性は45%。DM対照群における年齢の中央値は54.7歳で、男性は63%。インスリンを使用している患者は60%だった。

 HbA1cの中央値は、GCK群6.9%(6.5-7.1)、健常対照群5.8%(5.5-5.9)、DM対照群7.8%(7.2-8.7)だった。

 臨床的に意義のある微小血管合併症の有病率は、GCK群(1%、95%信頼区間0-5)と健常対照群(3%、0.2-8)に有意差はなく(P=0.52)、GCK群はDM対照群(36%、25-47)に比べて有意に低かった(P<0.001)。

 網膜症の有病率は、GCK群30%(21-41)で、健常対照群(14%、7-23)に比べると有意に高かった(P=0.007)が、DM対照群(63%、51-73)よりは有意に低かった(P<0.001)。GCK群における網膜症患者の81%は、網膜小動脈瘤が5個未満で軽症だった。GCK群と対照群ではレーザー治療を必要とした患者はいなかったが、DM対照群では28%(18-39)がレーザー治療を受けており、DM対照群とGCK群に有意差を認めた(P<0.001)。著者らは、GCK群における網膜症の多くは、慢性的な血糖値上昇との関係は明らかではないと考えている。

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