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JAMA誌から
ICUでの手袋とガウン常時着用はMRSA/VRE感染を減らさない
米国のICU計20カ所で行われたRCTの結果

 医療従事者を介した抗菌薬耐性菌の伝播を防ぐため、ICU内の患者に接する医療従事者に手袋ガウンを常時着用させるという対策を取っても、ICU退院時にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌MRSA)またはバンコマイシン耐性腸球菌VRE)が陰性から陽性になっていた患者の割合は、抗菌薬耐性菌に感染している患者に接する医療従事者のみに手袋とガウンを着用させた場合と比較して減少しないことが分かった。米Maryland大学医学部のAnthony D. Harris氏らが、JAMA誌電子版に2013年10月4日に報告した。

 ICUにおける医療従事者を介した抗菌薬耐性菌の伝播予防策として、手指衛生の徹底に焦点が当てられているが、遵守率は高くない。米疾病対策予防センターCDC)は、抗菌薬耐性菌に感染している患者のケアに当たる医療従事者に手袋とガウンを着用させる接触予防策を推奨している。しかし、抗菌薬耐性菌感染者を正確に同定することは難しい。そこで著者らは、ICUの患者に接触する際には医療従事者に必ず手袋とガウンを着用させる方法と、抗菌薬耐性菌の感染または定着が明らかな患者に対してのみ接触予防策を行う通常の方法で、どちらがMRSAまたはVREの伝播を減らせるかを比較するクラスターランダム化比較試験(RCT)を計画。米国の病院の内科および外科のICU、計20カ所で12年1月4日~12年10月4日に実施した。

 11年9月~11年12月にICUのベースラインのデータを収集。得られた各ICUのMRSAまたはVRE感染獲得率(ICU入院時と退院時に得た標本を用いた監視培養により評価。入院時はMRSAまたはVRE陰性だったが、ICU退院時に陽性になっていた患者の割合を求めた)を考慮してICUのペアを作成し、ランダムに一方を介入群、もう一方を対照群とした。介入群に割り付けられたICUでは、全ての医療従事者に対し、患者と接触する時とICU内の病室に入る時に手袋とガウンを着用するよう指示した。

 主要転帰評価指標は、ICU入院中のMRSAまたはVREの感染獲得に設定。ICU入院時はこれらに感染していなかった患者を分析対象にした。2次評価指標は、患者のVRE感染獲得率、MRSA感染獲得率、医療従事者の入室頻度、手指衛生遵守率、医療関連感染(中心ライン関連血流感染、カテーテル関連尿路感染、人工呼吸器関連肺炎)の発生率、有害事象とした。

 2万6180人の患者を分析対象にした。6324人からベースラインのデータを収集、1万9856人を転帰評価の対象にした。得られたスワブ標本は計9万2241あり、うち2万646標本をベースラインの分析の対象に、7万1595標本を転帰評価の対象にした。

 介入群の手袋着用遵守率は86.18%、ガウン着用遵守率は85.14%だった。対照群では10.52%の患者が接触予防策の対象となり、それらの患者と接した医療従事者の手袋着用遵守率は84.11%、ガウン着用遵守率は81.21%だった。

 介入群におけるMRSAまたはVREの感染獲得率は、ベースライン期間が1000人-日当たり21.35(95%信頼区間17.57-25.94)、介入期間は1000人-日当たり16.91(14.09-20.28)だった。対照群はそれぞれ19.02(14.20-25.49)と16.29(13.48-19.68)で、両群間の変化の差は1000人-日当たり-1.71(-6.15から2.73、P=0.57)と有意ではなかった。

 VREのみの感染獲得率にも差はなかった。介入群では1000人-日当たり15.18(10.50-21.95)から1000人-日当たり13.59(10.26-17.99)に、対照群ではそれぞれ14.37(10.31-20.02)から11.88(8.65-16.33)に変化したが、差は1000人-日当たり0.89(-4.27から6.04、P=0.70)だった。

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