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JAMA誌から
慢性疾患予防を目的とするHRTは勧められない
Women’s Health Initiative追跡13年の結論

 閉経後女性への慢性疾患予防を目的とするホルモン補充療法HRT)実施は支持されない--そんな結論が、Women’s Health Initiative(WHI)の長期追跡データを分析した結果、導き出された。米Brigham and Women’s HospitalのJoAnn E. Manson氏らが、JAMA誌2013年10月2日号に報告した。

 HRTの利益とリスクについては、様々な議論が行われてきた。HRTが行われるようになった当初は、更年期障害の症状軽減が目的だったが、その後この治療が、冠疾患(CHD)や認知機能障害などの様々な慢性疾患の予防に役立つという見方が強まり、観察研究ではHRTの利益を示唆する結果が得られていた。WHIで得られたデータが最初に公開される前には、米国の閉経女性の40%以上がHRTを受けていた。

 WHIは、閉経女性からなる大規模集団に慢性疾患予防を目的としてHRTを使用し、長期追跡を行った初めてのランダム化比較試験(RCT)だった。50~79歳の閉経女性計2万7347人を1993から98年に米国内の40施設で登録した。

 子宮を有する女性のうち介入群(8506人、平均年齢は63.2歳)には、抱合型ウマエストロゲン(CEE)0.625mg/日と酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)2.5mg/日を投与し、対照群(8102人、63.3歳)にはプラセボを投与した。子宮摘出術歴がある女性のうち介入群(5310人、63.6歳)にはCEE(0.625mg/日)を単剤投与し、対照群(5429人、63.6歳)にはプラセボを投与した。

 介入期間は、CEEとMPA併用グループが中央値5.6年(乳癌リスクの上昇が見られた上にリスクと利益のバランスが不良であることが示され、2002年7月に介入中止)、CEE単剤グループは7.2年(冠疾患リスクの低減という利益で相殺されないレベルの脳卒中リスクの上昇が認められ、04年2月に介入を中止)だった。

 追跡は、延長期間も含めると10年9月30日まで行われた。介入中止からの追跡期間はCEEとMPA併用グループが8.2年で、割り付けからは13.2年となり、CEE単剤グループではそれぞれ6.6年と13.0年だった。

 WHIの有効性の主要転帰評価指標はCHD、安全性の評価指標は浸潤性乳癌に設定されていた。また、利益とリスクを総合的に判断するためのGlobal indexとして、これら2つの転帰と、脳卒中、肺塞栓症、大腸癌、子宮内膜癌、股関節部骨折、死亡のいずれかを経験した患者を合計し、介入群と対照群の間で比較した。

 まず、CEEとMPA併用グループでの解析では、介入期間中のCHD罹患は介入群が196人、対照群が159人で、ハザード比は1.18(95%信頼区間0.95-1.45、P=0.13)、浸潤性乳癌はそれぞれ206人と155人でハザード比は1.24(1.01-1.53、P=0.04)だった。

 CEEとMPA併用グループでは、脳卒中(ハザード比1.37、1.07-1.76、P=0.01)、肺塞栓症(1.98、1.36-2.87、P<0.001)、認知症(65歳以上が分析対象、可能性例となるハザード比は2.01、1.19-3.42、P=0.01)、胆嚢疾患(1.57、1.36-1.80、P<0.001)、尿失禁(1.49、1.36-1.63、P<0.001)などのリスクは上昇し、大腸癌(0.62、0.43-0.89、P=0.009)、股関節部骨折(0.67、0.47-0.95、P=0.03) 、糖尿病(0.81、0.70-0.94、P=0.005)、血管運動性の症状(vasomotor symptom)(0.36、0.27-0.49、P<0.001)などのリスクは低下していた。Global indexのハザード比は1.12(1.02-1.24)だった。

 また、介入終了後の追跡期間のみのイベントを分析したところ、先に介入群に見られたほとんどのリスクと利益は消失していた。CHDのハザード比は1.04(0.89-1.23、P=0.61)、Global indexのハザード比は1.03(0.95-1.11、P=0.50)だった。しかし、乳癌リスクの上昇は追跡終了まで継続していた(1.32、1.08-1.61、P=0.007)。

 続いて、割り付けから延長追跡終了までの全てのイベントを分析対象にしたところ、13.0年間のCHDのハザード比は1.09(0.96-1.24、P=0.19)だったが、浸潤性乳癌のハザード比は1.28(1.11-1.48、P<0.001)と有意なリスク上昇を示した。Global indexのハザード比は1.06(1.00-1.13、P=0.05)だった。

 介入群における子宮内膜癌(0.67、0.49-0.91、P=0.01)、股関節部骨折(0.81、0.68-0.97、P=0.02)のリスク低下は有意だった。大腸癌については、ハザード比0.80(0.63-1.01、P=0.06)で利益は有意でなくなった。

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