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JAMA Intern Med誌から
55歳以下の急性冠症候群、無胸痛はやはり女性に多い
前向きコホート研究GENESIS PRAXYの患者データを用いた分析結果

 55歳以下で急性冠症候群ACS)で入院した男女の患者の臨床像を比較した研究で、無胸痛の患者はやはり女性に多いこと、無胸痛はACS軽症を意味しないことなどが明らかになった。カナダBritish Columbia大学のNadia A. Khan氏らが、JAMA Internal Medicine誌電子版に2013年9月16日に報告した。

 胸痛はACSの典型的症状だが、最大で35%のACS患者が胸痛を経験しないという報告がある。無胸痛のACS患者は救急部門で誤診される可能性が高く、胸痛がある患者に比べて死亡リスクが高い。高齢者を対象とする研究では、男女ともに無胸痛患者が少なからずいること、無胸痛患者と軽い胸痛しかない患者は女性に多いことが示されており、ACSの臨床像には性差があると考えられている。しかし、若いACS患者の臨床像にも性差があるかどうかは明らかではなく、無胸痛に関連する要因に関する検討も行われていなかった。

 実際には、ACS患者の約18%は55歳以下で、救急部門でACSと診断されない患者には女性が多い上、ACSで入院した55歳以下の患者の死亡リスクも女性の方が高い。これらの事実は、若いACS患者においても、女性に無胸痛患者が多いことを示唆する。

 そこで著者らは、55歳以下のACS患者に性別特異的な評価が必要なのかどうかを明らかにしようと考えた。カナダを中心に米国、スイスで進行中の前向きコホート研究GENESIS PRAXY(Gender and Sex Determinants of Cardiovascular Disease:From Bench to Beyond Premature Acute Coronary Syndrome)試験に09年1月~12年9月に登録された、55歳以下のACSで入院した患者1015人(30%が女性)を分析した。男女の臨床像の差を調べ、胸痛の有無と性別、社会経済的要因、男性性/女性性(BSRI質問票に基づく評価)、社会心理的要因、糖尿病や高血圧、ACSの重症度のマーカー(ACSのタイプ、トロポニン値、または冠疾患の広がりの程度)、冠疾患の広がりの程度(50%超の狭窄が存在する冠動脈の本数に基づき評価)などとの関係を調べた。ACSのタイプはST上昇心筋梗塞(STEMI)、非ST上昇心筋梗塞(NSTEMI)、不安定狭心症に分類した。

 ACSの診断は担当医が受診時の症状に基づいて行った。心筋損傷のバイオマーカーとなるトロポニンIまたはトロポニンT値か、クレアチンキナーゼ-MB(CK-MB)もしくはクレアチニンリン酸キナーゼ(CPK)値の異常、あるいは心電図の異常が見られることをACSの条件とした。

 入院中にMcSweeney Acute and Prodromal Myocardial Infarction Symptom Survey(MAPMISS)を行い、症状発現から診断までに現れた急性期症状に関する情報を得た。MAPMISSは、心筋梗塞の33通りの前駆症状と37通りの急性期症状の評価指標として用いられている。

 分析対象となった1015人の患者の年齢の中央値は男女ともに49歳だった。高血圧、糖尿病、うつの患者は女性に有意に多く、50%超の狭窄がある冠動脈が見つかった患者は男性に多かった。男性の96.6%と女性の97.0%が1つ以上の症状を報告していた。ACSのタイプにかかわらず、男女ともに最も多く報告された症状は胸痛だった。胸痛以外で男女の両方に多く見られたのは、脱力、熱っぽさ、息切れ、冷汗、左の腕または肩の痛みなどだった。1人の患者が報告した症状の数は、女性の方が多かった。

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