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JAMA Intern Med誌から
植物性脂肪の積極的な摂取で前立腺癌の予後改善
非転移性の患者4000人以上を対象とした前向き研究の結果

 診断後の非転移性前立腺癌患者では、炭水化物の代わりに植物性脂肪を摂取することに生存利益があることが、4000人以上の患者を対象とした前向き研究の結果、明らかになった。米California大学San Francisco校のErin L. Richman氏らが、JAMA Internal Medicine誌2013年7月22日号に報告した。

 米国では約250万人が前立腺癌を抱えて生活している。これまで、脂肪の摂取と前立腺癌罹患の関係を明らかにするための研究が精力的に行われてきたが、一貫した結果は得られていなかった。一方、診断後の脂肪の摂取と前立腺癌の進行や生存の関係を調べた研究はほとんどなかった。

 著者らは、前立腺癌の診断後における脂肪の摂取と致死的前立腺癌、全死因死亡の関係を調べるために前向き研究を実施した。Health Professionals Follow-up Study(1986~2010年)に参加した40~75歳の医療従事者の男性5万1529人のうち、ベースラインでは前立腺癌ではなく、1986年から2010年に非転移性の前立腺癌と診断された人々を対象とした。

 条件を満たした4577人の患者を前向きに追跡。食事の内容の評価は、4年ごとに食物摂取頻度調査票を用いて行った。分析対象にした脂肪は、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、動物性脂肪、植物性脂肪で、それらの摂取と致死的な前立腺癌(遠隔転移または前立腺癌死亡)、全死因死亡との関係を調べた。

 中央値8.4年の追跡で、致死的な前立腺癌は315人に、全死因死亡は1064人に発生。主な死因は心血管疾患(31.2%)、前立腺癌(21.3%)、その他の癌(20.6%)などだった。

 それぞれの摂取量の最高5分位群と最低5分位群について、致死的な前立腺癌の粗の発生率を求めたところ、飽和脂肪酸では1000人年当たり7.6と7.3、一価不飽和脂肪酸では6.4と7.2、多価不飽和脂肪酸では5.8と8.2、トランス脂肪酸は8.7と6.1、動物性脂肪は8.3と5.7、植物性脂肪は4.7と8.7で、診断後に植物性脂肪を多く摂取していた男性は、致死的前立腺癌のリスクが低いことが示唆された。

 近年、炭水化物の摂取が、血清インスリン値を上昇させて前立腺癌の進行を促進する可能性が指摘されているため、炭水化物から摂取している熱量の一部をそれぞれの脂肪に代えた場合の致死的前立腺癌への影響を評価した。置き換えによるリスクの変化が有意になったのは植物性脂肪に代えたときのみだった。摂取熱量の10%を炭水化物ではなく植物脂肪から摂るようにすると、致死的な前立腺癌のリスクは29%低下することが示唆された。診断時の年齢、摂取熱量、診断からの時間、実施された治療、グリーソンスコア、病期、診断時のPSA値、診断前に受けたPSAスクリーニング検査の回数、BMI(体格指数)、喫煙歴、精力的な運動、飲酒、カルシウム摂取、蛋白質摂取などで調整したハザード比は0.71(95%信頼区間0.51-0.98、P=0.04)だった。

 一方、摂取熱量の10%分を動物性脂肪から植物性脂肪に代えると、ハザード比は0.76(0.52-1.10、P=0.14)とリスク低下傾向は示されたが、有意な差は認めなかった。

 多価不飽和脂肪酸の摂取や、オメガ-6脂肪酸とオメガ-3脂肪酸の比など、他の脂肪の摂取と致死的前立腺癌の間には有意な関係は見られなかった。

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