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JAMA Intern Med誌から
急性期病院退院時の高齢者へのPPI処方は1年死亡率の上昇に関係
高用量では死亡のハザード比が2.59に

 急性期病院を退院した65歳以上の高齢者に対するプロトンポンプ阻害薬PPI)の処方が、患者の1年死亡率を有意に高める可能性があることが、イタリアParma大学病院のMarcello Maggio氏らの研究で明らかになった。詳細は、JAMA Internal Medicine誌電子版に2013年3月4日に報告された。

 過去20年間にわたってPPIの処方は増えており、特に高齢者への処方が増えている。PPIは高齢者で重症化しやすい胃食道逆流症や消化性潰瘍の治療において、ヒスタミン受容体拮抗薬に優る効果を有することが知られている。しかし近年、PPIの長期使用と骨折Clostridium difficileC.difficile)感染、市中肺炎などのリスク上昇の関係が示された。また、急性期病院の内科病棟などに入院している患者に対するPPIの処方の中には不適切なケースが少なからず含まれていることが示唆されている。PPIが栄養素の吸収を阻害する可能性や、代謝経路が共通する非ステロイド性抗炎症薬、抗血小板薬、ビスホスホネートなどの薬剤の作用を減弱させる可能性も示されており、入院を経験した高齢者はこうした有害事象の影響を特に受けやすいと考えられる。

 そこで著者らは、イタリアで行われた観察研究Pharmacosurveillance in the Elderly Careのデータを利用して、急性期病院を退院した高齢者に対する長期的なPPIの処方が死亡や再入院に影響を及ぼすかどうかを調べようと考えた。

 07年4月1日~6月30日までにイタリア国内の急性期病院11カ所を退院した65歳以上の高齢者491人(平均年齢80.0歳)を分析対象とし、退院直後からのPPIの使用と死亡、あるいは、死亡または再入院を合わせた複合イベントの関係を評価した。

 患者はPPIの用量で層別化した。オメプラゾール10~20mg/日、パントプラゾール10~20mg/日、ランソプラゾール15mg/日、ラベプラゾール10mg/日、エソメプラゾール20mg/日のいずれかを使用していた患者を低用量群とし、オメプラゾール40mg/日、パントプラゾール40mg/日、ランソプラゾール30mg/日、ラベプラゾール20mg/日、エソメプラゾール40mg/日を使用していた患者を高用量群とした。

 共変数として、年齢、性別、認知機能、うつ症状、日常生活動作(ADL)、BMI、血清アルブミン値、併存疾患などに関する情報を得た。

 主要転帰評価指標は、退院後1年間の死亡と複合イベント(死亡または再入院)に設定。時間依存型のCox比例ハザード回帰モデルを用いて分析した。

 急性期病院退院時にPPIを処方されていた患者は174人、PPIの処方がなかった患者は317人だった。処方あり群は、処方なし群に比べて認知機能障害の有病率が高く、併存疾患スコアが高く、退院時に処方された薬剤の種類も多かった。心血管疾患、消化性潰瘍、胃食道逆流症、下痢も処方あり群で多く、抗血栓薬の使用率も処方あり群で有意に高かった。

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