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JAMA誌から
肺損傷のない患者でも保護的換気が転帰改善に有用

 肺損傷のない患者に対しても、治療当初から1回の換気量を減らした肺保護的換気を行うと、肺損傷リスクが低下し、全死因死亡も減らせることが、ブラジルABC Medical SchoolのAry Serpa Neto氏らのメタ分析で示された。論文は、JAMA誌2012年10月24/31日号に掲載された。

 機械的換気は、急性呼吸不全に陥った患者の命を救うために重要だ。一方で、機械的換気において1回の換気量が多いと、肺胞が過伸展されてvolutraumaと呼ばれる状態になり、人工呼吸器関連肺損傷のリスクが上昇する。急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、またはより軽症の急性肺損傷(ALI)の患者においては、1回の換気量を減らせば(肺保護的換気)、死亡率と合併症罹患率が低下することが知られている。だが、それ以外の患者にも保護的換気が利益をもたらすかどうかは明確ではなかった。

 著者らは、1回の換気量を減らした機械的換気がARDS以外の患者の転帰を向上させるかどうかを明らかにしようと考え、メタ分析を実施した。

 MEDLINE、CINAHL、Web of Science、コクランセントラルに2012年8月までに登録された研究の中から、ARDSまたはALIの診断基準を満たさなかった患者を登録し、機械的換気開始時点で換気量を低く設定した場合と、通常の換気量を用いた場合の肺損傷、全死因死亡、肺感染症、無気肺、生化学的検査値の変化などについて報告していた研究を選出した。

 主要評価指標は肺損傷の発生に設定。2次評価指標は全死因死亡、肺感染症、無気肺、ICU入院期間、入院期間などとした。

 20件の研究(2822人を登録)が条件を満たした。登録されていたのは、外科ICU入所者、心臓手術や癌摘出術などの外科的処置後の患者などだった。5件以外はすべて無作為化試験で、追跡期間の中央値は21.0時間だった。保護的換気の継続時間の中央値は6.90時間、通常の換気は6.56時間だった。

 保護的換気群に適用された換気量は、15件が予測体重1kg当たりの数値を設定していた。4件はベースとした体重の算出法について報告していなかった。1件は実測値に基づいて設定していた。6mL/kgの設定が最も多く、平均は6.45mL/kgだった。

 通常換気群には、保護的換気群より体重1kg当たり2~6mL多い換気量が用いられており、平均は10.60mL/kgだった。

 固定効果モデルを用いてメタ分析を実施した。肺損傷の発生率は、保護的換気群が4.22%(1113人中47人)、通常換気群が12.66%(1090人中138人)で、保護的換気による有意なリスク低下が見られた(リスク比0.33、95%信頼区間0.23-0.47、I2=0%、治療必要数〔NNT〕は11)。無作為化試験に限定して分析すると、肺損傷のリスク比は0.26(0.10-0.66、NNTは10)になったが、それ以外の試験も保護的換気の利益を示した。

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