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JAMA誌から
関節リウマチ診断後、少なくとも10年はVTEリスクが上昇

 近年、関節リウマチRA)が静脈血栓塞栓症VTE)の危険因子である可能性が示されている。スウェーデンKarolinska研究所のMarie E. Holmqvist氏らは、スウェーデン国民の医療情報などを利用して、RA診断後は入院が必要なVTEイベントのリスクが一般の人々に比べ1.6倍になること、このリスク上昇はRAの診断から少なくとも10年程度続くことを明らかにした。論文は、JAMA誌2012年10月3日号に掲載された。

 急性炎症は、凝固亢進状態を引き起こしてVTEリスクを高める可能性がある。また、慢性炎症疾患であるRAなどでは、凝固を促進する因子の発現が上昇している。だが、実際にRA患者においてVTEリスクの上昇が見られるかどうかを調べた質の高い研究はなかった。

 著者らは、RA患者のVTEリスクを評価し、RA診断からの年数や、あらゆる入院とVTEリスクとの関係を調べるために、登録情報を利用した住民ベースの前向きコホート研究を実施した。

 スウェーデン国民のほぼ全ての入退院、診断などの情報を登録している医療情報データベース、処方薬登録、死亡や転居に関する情報を登録している国民登録などを利用し関連づけて、個々の患者または一般人のデータを収集した。

 まず、RAで定期的に専門医に通う患者からなる、RA罹患者コホートを設定した。05年1月から09年12月までに、RAの診断でリウマチ専門医または内科医を2回以上受診していた患者を選んだ。条件を満たしたのは3万7856人で、これらの患者のIndex dateは2回目の受診日にした。入院が必要なVTEに関する追跡はindex date後60日の時点で開始した。

 次に、RA新規診断コホートを設定した。1997年1月から09年12月までに、米リウマチ学会の87年の診断基準を満たしてSwedish Rheumatology Quality Registerに登録された16歳以上の患者7904人を選んだ。診断日をindex dateとし、その日からVTEについて追跡を行った。

 さらに、上記の2つのコホートの患者と年齢、性別、居住地域がマッチする一般人からなる対照コホートを設定。RA患者1人当たり5人までの一般人を、国民登録から選んだ(RAと診断されている患者約0.8%も除外せずに対照群に含めた)。対照コホートの一般人のindex dateは、マッチする患者のindex dateと同一とした。罹患者コホートに対する対照コホートは16万9921人、新規診断コホートに対する対照コホートは3万7350人選出できた。

 主要転帰評価指標は、初回の、入院を必要とするVTEに設定。どのコホートについても、原則として、index date以前にVTEイベントを経験していた患者は除外した。

 RA罹患者コホートのVTEリスクは、対照コホートより有意に高かった。中央値4.3年の追跡で、罹患者コホートに発生した、初回の、入院を必要とするVTEは838件(コホートの2.2%が経験)、対照コホートでは1866件(1.1%)。1000人-年当たりのVTE罹患率は5.9(95%信頼区間5.1-6.6)と2.8(2.6-3.1)、調整ハザード比は2.0(1.9-2.2、P<0.001)になった。VTEを深部静脈血栓症(DVT)と肺塞栓症(PE)に分けて分析しても、ハザード比はVTEと同様だった。

 次に、RA新規診断コホートについて分析した。Index date以降、中央値5.8年の追跡で、RA新規発症コホートのVTEリスクは対照コホートより有意に高かった。RA群の初回VTEは223件(2.8%)、対照群は648件(1.7%)で、1000人-年当たりの罹患率は4.5(3.0-5.9)と2.8(2.2-3.3)、ハザード比は1.6(1.4-1.9、P<0.001)になった。やはり、DVTとPEを分けて分析しても、VTEと同様のハザード比になった。

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