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JAMA誌から
白内障手術後1年間は股関節骨折リスクが16%低下

 白内障手術から1年間は、股関節骨折リスクとあらゆる骨折リスクが有意に低下することが、米Brown大学のVictoria L. Tseng氏らが行った大規模後ろ向き研究で明らかになった。論文は、JAMA誌2012年8月1日号に掲載された。

 視覚障害は骨折の危険因子の1つとして知られている。中でも転倒・骨折との関係が強いのは白内障だが、白内障手術が骨折を減らせるかどうかを調べた大規模研究はなかった。そこで著者らは、白内障との診断を受けていた米国のメディケア受給者を対象として、白内障手術とその後の骨折リスクの関係を調べた。

 メディケアパートB加入者の中から無作為に選んだ5%の患者の情報から、02年から09年までに白内障と診断され、白内障手術を受けていた人々と、白内障と診断されたが手術を受けなかった人々の情報を抽出。白内障手術群は術後1年間、手術なし群は診断から1年間追跡して、骨折の有無を調べた。

 主要転帰評価指標は、追跡期間中の股関節骨折の発生とし、年齢、性別、人種、居住地域、全身性の併存疾患(Charlson併存疾患指数=CCIスコアと、CCIに含まれない骨折リスク上昇をもたらす疾患)、眼の併存疾患、白内障の重症度、身体的な障害をもたらす病気の存在などで調整して、手術なし群と比較した手術あり群のオッズ比を求めた。2次評価指標は追跡期間中のあらゆる骨折に設定した。

 02年から09年までの間に白内障の診断を受けた65歳以上のメディケア受給者111万3640人(59.9%が女性、88.1%が白人)の情報を得た。うち41万809人(36.9%)が白内障手術を受けていた。

 白内障患者に最も多く見られた骨折関連の併存疾患は骨粗鬆症(13万4335人、12.1%)だった。手術あり群には、重症の白内障患者が多く、身体的な障害をもたらす病気を持つ患者も多かった。

 1年間(手術あり群は術後1年間、手術なし群は診断後1年間)の股関節骨折は、計1万3976人(1.3%)に発生した。あらゆる骨折は計5万9791人(5.4%)に発生していた。粗の発生率は、股関節骨折が手術あり群1.30%(95%信頼区間1.26-1.33)、手術なし群1.23%(1.21-1.26)(P=0.003)で、あらゆる骨折は5.68%(5.61-5.75)と5.19%(5.13-5.24)になった(P<0.001)。

 手術あり群における股関節骨折の未調整オッズ比は1.05(1.02-1.09、P=0.004)だった。だが、人口統計学的要因と併存疾患を順次調整に加えて行くと、オッズ比は徐々に小さくなった。年齢で調整すると0.84(0.81-0.87、P<0.001)、人種、性別、居住地域を調整に加えると0.83(0.80-0.86、P<0.001)、さらに併存疾患を調整に加えると0.84(0.81-0.87、P<0.001)、身体的な障害をもたらす病気と重症白内障を調整に加えると0.84(0.81-0.87、P<0.001)になった。この場合の絶対リスク差は0.20%だった。

 同様に、あらゆる骨折についても、手術あり群における未調整オッズ比は1.10(1.08-1.12、P<0.001)で、全ての要因について調整を行うと0.95(0.93-0.97、P<0.001)となり、この場合の絶対リスク差は0.24%になった。

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