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JAMA誌から
H1N1 2009ワクチンでギランバレー症候群が増加
絶対リスク増加は100万接種当たり約2例、利益が上回る

 カナダで新型インフルエンザH1N1 2009)が流行した2009年から翌年にかけて、H1N1 2009パンデミック株に対するワクチンを接種した人々において、ギランバレー症候群GBS)の罹患リスクが有意に上昇していたことが、同国で行われたコホート研究で明らかになった。著者のカナダLaval大学のPhilippe De Wals氏らは、「ワクチン接種者におけるGBSの増加は接種100万回当たり約2例と非常に小さく、ワクチンによる利益はGBSリスクを上回っていた」との考えを示している。論文は、JAMA誌2012年7月11日号に掲載された。

 ギランバレー症候群は、外来の刺激をきっかけに発症する自己免疫性の末梢神経障害と考えられている。米国では、1976~77年に豚インフルエンザに対する不活化ワクチンの接種が行われた際に、接種者にギランバレー症候群が高率に発生。米医学研究所(IOM)は03年に、同ワクチンと成人のGBSの間に因果関係があった可能性が高い、と結論している。

 一方で、季節性インフルエンザに対するワクチンについては、GBSリスク上昇はないか、あってもわずかであることが示されている。IOMのワクチン有害事象審査委員会は、季節性インフルエンザワクチンがGBSを引き起こすかどうかを判断するに十分なエビデンスはないとの見解を示している。

 著者らは、ケベック州当局からの指示に従って、ワクチン接種後のGBS罹患リスクを評価する集団ベースのコホート研究を実施した。

 カナダでH1N1 2009に対するワクチン接種が始まった09年10月から、10年3月までの6カ月間に発生したGBS疑い例と確定例を、ケベック州内のすべての急性期ケア病院と神経内科クリニックで行われたサーベイランスと、入院患者の情報を登録しているデータベースMEDECHOを利用して選出した。

 それらの患者の医療記録を調べ、Brighton Collaborationの基準に基づいて症例をレベル1~3(数字が大きくなるほど診断の確実性は下がる)に分類した。Brighton基準を満たさなかったものの、神経内科医によってGBS確定例と判断された患者はレベル4とした。個々の患者について、ワクチン接種の有無を確認した。

 同州内のワクチン接種対象は、生後6カ月以上の780万人で、09年末までに440万人(57%)が接種を受けた。このうち96%の接種者にAS03アジュバント添加ワクチンが用いられていた。

 著者らは、GBSリスク期間としてワクチン接種から8週間、6週間、4週間の3つを設定した。接種前および接種後8週を超えてからのGBS発症例は、非接種で発症した者と合わせて「ワクチン曝露なしでの発症」と判断した。

 主要転帰評価指標は、GBSの相対リスクと寄与リスクに設定。ポワソンモデルと、曝露なし期間を自己対照とするケースシリーズ法(ワクチン接種後にGBSを発症した患者のみを対象とし、接種から8週以内の罹患密度と、それ以降の対照期間の罹患密度を比較する)の2つを用いて評価した。

 6カ月間のサーベイランスで報告があったGBSは61人、MEDECHOデータベースから同定されたのは77人で、重複していた37人を除くと、GBSの総数は101人になった。さらに、最終診断がGBSでなかった12人などを除いたところ、GBS確定例は83人になった。確定例の年齢は49歳(中央値)、男性が69%で、4人が死亡した(全員60歳超)。総計362万3046人-年の観察におけるGBS罹患率は10万人-年当たり2.3になった。

 GBS確定例の83人中71人がBrighton基準のレベル1~3と判定された。レベル1は49人、レベル2は22人、レベル3は0人で、レベル4が12人だった。

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