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JAMA誌から
乳房温存術後の小線源治療は全照射よりも転帰不良
長期的な乳房温存の可能性が下がり合併症リスクは上昇、コホート研究で検討

 乳房温存療法を受けた高齢乳癌患者に対する術後放射線療法として、全乳房照射の代わりに放射線源を体内に埋め込む密封小線源療法を行うと、全乳房照射に比べてその後の乳房切除リスクが有意に高く、合併症も有意に多いことが明らかになった。米Texas大学MD Anderson癌センターのGrace L Smith氏らが、JAMA誌2012年5月2日号に報告した。

 近年、乳房温存術後の乳癌患者に対して、これまで標準的に行われてきた全乳房照射の代わりに、小線源療法が適用される割合が増えている。既に米国では、高齢の乳癌患者の約10%に小線源療法が適用されている。小線源療法には照射線量が少なく、治療期間が短く済むなどのメリットがあるが、その有効性を全乳房照射と比較した無作為化試験のデータは乏しい。向こう何年間も、長期的な無作為化試験の結果が報告される見込みがないことから、著者らは、無作為化試験以外の方法でこれら2通りの放射線治療を受けた患者の臨床転帰を比較する必要があると考え、コホート研究を行った。

 米国のメディケア受給者の請求情報を全て登録しているデータベースから、高齢の乳癌患者で乳房温存療法後に小線源療法か全乳房照射のいずれかの放射線治療を受けた女性を選び、乳房温存の可能性、合併症、生存などについて比較した。

 対象は、67歳以上の女性で、03~07年に浸潤性乳癌と診断され、乳房温存術と術後放射線治療を受けて、08年まで追跡された9万2735人(年齢の中央値は74.8歳)。乳房温存術後に6952人(7.50%)が小線源療法を、残りの8万5783人が全乳房照射を受けていた。

 主要転帰評価指標は、乳房温存失敗の指標となる「乳房切除術の実施」に設定。さらに、術後の感染性合併症と非感染性合併症(術後ショック、出血、血腫、漿液腫など)、放射線治療関連の合併症(肋骨骨折、脂肪壊死、乳房痛、肺炎など)、死亡などについて評価した。

 共変数として、年齢、人種、診断年、社会経済的地位、併存疾患の有無、腋窩リンパ節転移の有無、化学療法の有無などに関する情報を収集した。

 中央値3.03年の追跡期間中に、14.4%に当たる1万3355人が脱落した。小線源療法が適用された患者は、03年は全体の3.47%だったが、07年には12.52%に増加していた(傾向性のP<0.001)。

 5年間の乳房切除術実施率は、小線源群が3.95%(95%信頼区間3.19-4.88)、全照射群は2.18%(2.04-2.33)だった(P<0.001)。両群の差は多変量調整後も認められ、小線源群の乳房切除術実施の調整ハザード比は2.19(1.84-2.61、P<0.001)になった。

 腋窩リンパ節転移陽性の患者では、小線源療法後の乳房切除術リスクが特に高かった(ハザード比5.08、2.94-8.80、P<0.001)。だが、リンパ節転移陰性の患者でも、小線源群のリスク上昇は有意だった(2.09、1.74-2.51、P<0.001)。

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