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JAMA誌から
ボツリヌス毒素Aの慢性頭痛に対する効果はわずか

 米国では、慢性片頭痛患者に対するボツリヌス毒素A注射の予防的投与が認められている。だが、米Medical College of WisconsinのJeffrey L. Jackson氏らがこのほど行ったメタ分析で、同注射は慢性連日性頭痛と慢性片頭痛においては頭痛頻度を有意に減らすものの、頭痛発生日数が月に2~3日減少する程度の利益に留まることが明らかになった。反復性片頭痛または慢性緊張型頭痛の患者に対する利益は認められなかった。論文は、JAMA誌2012年4月25日号に掲載された。

 頭痛に対する治療には2通りある。頭痛を止める治療と、頭痛の発生を予防する治療だ。米食品医薬品局(FDA)は2010年10月、2件の臨床試験の結果に基づいて、ボツリヌス毒素Aを慢性片頭痛患者に予防的に投与することを認めている。その効果は、美容目的でボツリヌス毒素注射を受けた患者の慢性頭痛が改善されたことから偶然に見つかった。

 複数のケースシリーズ研究がボツリヌス毒素Aの頭痛に対する有効性を示唆していたが、一貫した利益は示されていないことから、著者らは、系統的レビューとメタ分析を行って、ボツリヌス毒素Aを成人患者の片頭痛や緊張型頭痛の予防に用いた場合の有効性と安全性を、頭痛の頻度を指標に調べることにした。

 Medline、Embase、コクランレジストリに12年3月15日までに登録された無作為化試験と既存の系統的レビューが引用していた無作為化試験の中から、患者をボツリヌス毒素Aまたは偽薬もしくは他の介入法に割り付けて、4週間以上の介入を行い、ボツリヌス毒素Aが頭痛の頻度または重症度に及ぼす影響を調べていたものを選んだ。

 個々の研究の組み入れ条件と除外条件を調べて、頭痛を片頭痛、緊張型頭痛、連日性頭痛(一部の研究が用いていた定義で、片頭痛と緊張型頭痛を含む)に分類。さらに、頭痛の発生日数が15日/月未満は反復性、15日/月以上は慢性とした。

 主要評価指標は、頭痛の頻度(1カ月の発生日数)とし、ランダム効果モデルを用いてプール解析した。

 条件を満たしたのは、対照群に偽薬を投与した無作為化試験27件と、他の薬剤(アミトリプチリン、プレドニゾン、トピラマート、バルプロ酸)を投与した試験4件だった。

 偽薬と比較した27件の試験は、計5313人の患者を登録しており、うち1938人が反復性片頭痛、1544人は慢性片頭痛、616人は慢性緊張型頭痛で、1115人は慢性連日性頭痛(74%は片頭痛で残りが緊張型)だった。患者の平均年齢は42.1歳で76%が女性、試験期間の平均は19週(84~270日)だった。

 偽薬と比較した試験は、2件を除いて頭痛の頻度を報告していた。ベースラインの1カ月当たりの頭痛発生日数の平均は、反復性片頭痛患者を登録した試験では6.2日(95%信頼区間5.0-7.4)、慢性片頭痛患者を登録した試験では19.5日(14.8-24.2)、慢性緊張型頭痛の患者を対象とした試験では25.2日(22.9-27.8)、慢性連日性頭痛の患者を対象とした試験では17.5日(13.5-21.3)と報告されていた。

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