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JAMA誌から
ヘリ搬送の外傷患者の生存退院率は救急車搬送より良好
米国の外傷データベースを分析

 近年、重症外傷患者の生存率が向上しているが、ヘリコプターを使った救急サービスはどの程度貢献しているのだろうか。米Maryland大学のSamuel M. Galvagno Jr氏らは、米国で救急用ヘリまたは救急車で搬送された重症外傷患者の生存と搬送方法の関係を調べる後ろ向きコホート研究を行った。その結果、ヘリ搬送群の生存退院率の方が有意に高いことが明らかになった。論文は、JAMA誌2012年4月18日号に掲載された。

 米国でも、ヘリ搬送が利用できる救急患者は限られており、費用が高額であることから、その有効性を通常の地上救急と比較する必要があった。著者らは、重症外傷の搬送方法と生存の関係を調べるために、07~09年版の米外科学会外傷データバンク(NTDB;外傷患者のデータベースとしては世界最大)に登録された患者を対象に、特に交絡因子の調整に注意を払って分析を行った。

 15歳超の鈍的外傷または穿通性外傷の患者で、外傷重症度スコア(ISS)が15ポイントを超えている(専門的な外傷ケアの必要性が高いとみなされる)患者の中から、レベルIまたはレベルIIの外傷センター(レベルIは米国内では最も高度で専門的なケアが可能な外傷治療施設、レベルIIはそれに次ぐ総合的な外傷ケア施設)に搬送された22万3475人を選出した。救急部門到着時に死亡していた患者、他施設からの転送患者などは除外した。

 共変数として、人口統計学的要因(年齢、性別、人種など)や外傷のタイプ(鈍的か穿通性か)、到着時に記録されたバイタルサイン(収縮期血圧、呼吸数、心拍数)、グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)のスコア、ISSなどの情報を得た。相関係数を求めて独立変数を同定し、その中からデータ欠損率が20%未満の変数を選んだ結果、収縮期血圧、呼吸数、心拍数、GCSの運動機能スコア、診断コードに基づく外傷の機序、年齢、性別、外傷のタイプ、搬送方法がモデルに組み入れられた。

 傾向スコアの算出に用いた変数は、年齢、性別、ISS、収縮期血圧、呼吸数、心拍数、外傷のタイプ、GCS運動機能スコア、外傷機序、搬送先の施設(レベルIかIIか)。スコアがマッチする患者群を対象に、ロジスティック回帰分析を実施した。

 主要アウトカムは生存退院率に設定した。

 対象期間中にヘリ搬送された患者は6万1909人、救急車搬送された患者は16万1566人だった。レベルIセンターに搬送された患者は15万9511人、レベルIIセンター搬送は6万3964人だった。ヘリ搬送患者のうち7813人(12.6%)、救急車搬送患者では1万7775人(11.0%)が死亡した。

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