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JAMA誌から
早期腎臓癌に対する腎部分切除は全摘より生存利益あり

 早期の腎臓癌患者に対して部分切除根治的腎摘出のいずれかを適用した場合、長期的な転帰はどちらがより好ましいのだろうか。米Michigan大学のHung-Jui Tan氏らが、病期T1aと診断され外科的治療を受けた腎臓癌患者の長期的な全生存率を比較したところ、部分切除群の方が有意に高いことが分かった。論文は、JAMA誌2012年4月18日号に掲載された。

 早期の腎臓癌患者の多くにとって、腎部分切除術は、その後の腎機能低下を防ぐために根治的腎摘出術より好ましい治療と考えられる。だが、最近報告された多施設無作為化試験の長期追跡で、部分切除術に比べ根治的腎摘出術を受けた患者の方が生存利益が大きいことが示されたため、どちらがより良い選択かが議論されている。

 より質の高い無作為化試験を行うのは難しいことから、著者らは、データベースに登録された情報を組み合わせて、部分切除と全摘の生存利益を比較しようと考えた。

 無作為化試験と違って、後ろ向きコホート研究の場合には交絡因子に関する調整を十分に行うことが難しい。そこで著者らは、操作変数法を用いることにした。操作変数法は計量経済学的アプローチで、観察データの中に存在する変動を利用して評価可能な変数と潜在する変数の両方を考量することを可能にする。

 著者らは、米国の地域癌登録で、治療や死亡に関する情報も登録されているSurveillance, Epidemiology and End Results(SEER)に蓄積されたデータと、メディケア/メディケイドサービスセンターが収集しているメディケア受給者のデータを関連づけて、1992年から2007年までに早期の腎臓癌と診断され、手術を受けた患者を抽出した。

 メディケア受給者の中から、局所に留まる腎臓癌で、尿路上皮癌ではなく、腫瘍のサイズが4cm以下(病期T1a)と診断され、開腹または腹腔鏡を用いた腎部分切除術または根治的腎摘出術を受けた人々を選出。個々の患者について、人口統計学的情報(年齢、性別、人種、配偶者の有無、収入、学歴など)、癌の重症度(悪性度と組織学的分類)、居住地(都市部かそれ以外か)、手術前1年間の合併疾患、術後の合併症(入院中または術後30日以内)などに関する情報を得た。

 主要転帰評価指標は、全生存と腎臓癌特異的生存に設定。操作変数法を用いたtwo-stage residual inclusion (2SRI)モデルを使って、これら治療の長期的な生存に対する影響を推定した。

 対象患者を手術から死亡まで、または10年5月末まで追跡した。

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