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JAMA誌から
高齢者の心電図異常は冠イベントリスク上昇に関係
既知の心血管危険因子から独立した予測因子となる可能性

 高齢者心電図検査では、異常が少なからず見い出される。こうした異常が冠動脈イベントの独立した予測因子になることが、スイスLausanne大学のReto Auer氏らが行った住民ベースの研究で明らかになった。論文は、JAMA誌2012年4月11日号に掲載された。

 高齢者では、中高年に比べ、通常の心血管危険因子(総コレステロール値、収縮期血圧、喫煙歴など)を用いた冠動脈イベント予測の精度は低いとされている。そこで著者らは、高齢者の心電図異常が冠動脈イベントリスクと関係しているのではないかと考え、住民ベースの研究を行った。

 米国のHealth ABCスタディに登録された高齢者の中から、1997~98年(ベースライン)に70~79歳で、心血管疾患がなく、心血管リスクの予測に必要な危険因子に関する情報が得られた2192人(年齢の中央値は73.5歳、55%が女性、59%が白人、41%が黒人)を抽出。06~07年まで8年超の冠動脈イベント(急性心筋梗塞、冠動脈疾患死亡、狭心症による入院または冠動脈血行再建術施行)に関する情報を収集した。イベントを経験した患者については、初回イベントの時点で追跡を打ち切った。

 共変数として、社会人口学的要因(年齢、性別、人種、登録施設、学歴)と、BMI、総コレステロール値、HDL-C値、クレアチニン値、喫煙歴、高血圧、糖尿病、脂質降下薬、ACE阻害薬、エストロゲン、アスピリンの使用などに関する情報を得た。

 ベースラインと4年時に心電図の異常の有無を調べ、ミネソタコードに基づいて異常、軽度異常、正常に分類した。

 主要アウトカム評価指標は、冠動脈イベントに設定。Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、既知の危険因子に心電図の異常を加えると冠疾患リスク予測能力が向上するかどうかを調べた。

 ベースラインの心電図で、276人(13%)に軽度異常、506人(23%)に異常が見られた。

 中央値8.2年の追跡期間中に、351人が冠動脈イベントを経験した。内訳は、冠動脈疾患死亡が96人、急性心筋梗塞が101人、狭心症による入院または冠動脈血行再建術施行が154人だった。全死因死亡は602人だった。

 心血管危険因子(年齢、性別、総コレステロール値、HDL-C値、収縮期血圧、喫煙歴、糖尿病)で調整後も、ベースラインの心電図の軽度異常と異常は、いずれも冠動脈イベントリスクの有意な上昇と関係していた。イベント発生率は、正常群が1000人-年当たり17.2、軽度異常群が1000人-年当たり29.3で、正常群と比較した調整ハザード比は1.35(95%信頼区間1.02-1.81)だった。異常群のイベント発生率は1000人-年当たり31.6で、調整ハザード比は1.51(1.20-1.90)になった。

 心血管危険因子にさらに共変数を加えて調整しても、正常群と比較した軽度異常群のハザード比は1.39(1.04-1.85)、異常群のハザード比は1.47(1.16-1.86)と有意なリスク上昇を示した。

 一方、全死因死亡のリスクと異常心電図の間には有意な関係は見られなかった。

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