日経メディカルのロゴ画像

JAMA誌から
フルオロキノロンは網膜剥離リスクを高める
絶対リスクは小さいが、現在使用者のリスクは非使用者の4.5倍

 フルオロキノロンニューキノロン)系抗菌薬を使用中の人々の網膜剥離リスクは非使用者の4.5倍になることが、カナダBritish Columbia大学のMahyar Etminan氏らが行ったネステッドケースコントロール研究で明らかになった。フルオロキノロン使用と網膜剥離リスクの関係が示されたのは初めて。絶対リスク増加は1万人-年当たり4と大きくなかったが、注意が必要と考えられる。論文は、JAMA誌2012年4月4日号に掲載された。

 フルオロキノロンは広く処方されている抗菌薬の1つで、忍容性は一般に高いが、様々な有害事象も報告されている。網膜の異常に関する報告も少なからずあった。動物実験では、この薬剤が網膜の変性を引き起こすことが示されており、コラーゲンと結合組織を破壊する作用を持つことから、ヒトにおいても網膜剥離を誘発する可能性が考えられていた。

 処方が多いにもかかわらず、フルオロキノロンの眼に対する安全性、特に網膜剥離のリスクに対する影響について調べた薬理疫学的な研究が行われていなかったため、著者らは、フルオロキノロンの服用と網膜剥離リスクの関係を調べるネステッドケースコントロール研究を実施した。

 ブリティッシュコロンビア州の医療データベースに登録された情報を関連づけて、2000年1月から07年12月までに眼科を受診した人々を抽出した。このコホートの中で、網膜剥離と診断され、14日以内に治療を受けた人々を「ケース」とした。眼科医を初めて訪れた日をコホートへの組み入れ日とし、網膜剥離の診断が下った日をindex dateとした。次に、コホート内で網膜剥離と診断されなかった人々の中から、年齢とコホートへの組み入れ年と月が「ケース」と一致する人を、「コントロール」として「ケース」1人につき10人選んだ。

 ケース、コントロールは共に、index date以前の1年間の処方情報を入手できた人々に限定した。その1年間のフルオロキノロン系薬剤の使用、具体的には、シプロフロキサシン、ガチフロキサシン、グレパフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシンなどの使用歴を調べた。

 フルオロキノロンの現在の使用(網膜剥離診断日が処方期間中だった)、最近の使用(診断日の1日前から7日前の間に直近の処方期間が終わった)、過去の使用(診断日の8日前から365日前に処方期間が終わった)と網膜剥離の関係を調べた。

 98万9591人の患者からなるコホートから、網膜剥離のケースを4384人、コントロールを4万3840人選んだ。ケースのうち、フルオロキノロンを現在、最近、過去のいずれかに使用していた患者は445人で、最も多く処方されていたのはシプロフロキサシンだった(82.7%)。続いてレボフロキサシン(7.2%)、ノルフロキサシン(4.9%)、モキシフロキサシン(4.0%)、ガチフロキサシン(1.1%)となっていた。

 445人のうち、現在使用者は145人、最近の使用者は12人、過去の使用者は288人だった。

この記事を読んでいる人におすすめ