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JAMA誌から
成人急性鼻副鼻腔炎へのアモキシシリンは支持されず
偽薬と比較して疾患特異的QOLの改善効果はなし

 成人の急性鼻副鼻腔炎患者を対象に、アモキシシリンと偽薬の有効性を比較した無作為化試験で、アモキシシリンには偽薬に優る疾患特異的なQOLの改善効果はないことが明らかになった。米Washington大学(St. Louis)のJane M. Garbutt氏らが、JAMA誌2012年2月15日号に報告した。

 急性鼻副鼻腔炎は、欠勤を余儀なくされるような症状をもたらすこともあるが、通常は治療なしで改善する病気だ。そのため、抗菌薬耐性菌の脅威が高まっている現在においては、強力なエビデンスがない限り抗菌薬投与は支持されない。だが、急性鼻副鼻腔炎に対する抗菌薬治療を支持するデータが限定的であるにもかかわらず、抗菌薬は広く投与されている。

 そこで著者らは、日常診療に近い状態で、抗菌薬投与の利益を評価する無作為化試験を行うべく、06年11月1日から09年5月1日まで、米国ミズーリ州セント・ルイスのプライマリケア10施設で患者登録を行った。

 米疾病管理予防センター(CDC)専門家委員会が作成した診断基準に基づいて、臨床的に合併症のない急性の細菌性鼻副鼻腔炎と診断された18~70歳の患者で、中等症、重症、極めて重症のいずれかと判断され、(1)改善または悪化なしに一定の症状が継続している期間が7日以上28日以下、または(2)症状の継続は7日未満だが当初改善した症状が著明に悪化した、のいずれかの条件を満たす人々を登録。アモキシシリン(1500mg/日)または偽薬に無作為に割り付け、1日3回に分けて10日間投与した。

 全員に、疼痛、発熱、咳、鼻づまりといった個々の症状に対する治療薬(アセトアミノフェン、グアイフェネシン、デキストロメトルファン、シュードエフェドリン、生理食塩水鼻洗浄スプレー)を頓用として5~7日分処方した。

 著者らは、抗菌薬の利益は投与開始から48~72時間で現れると予測し、主要アウトカム評価指標を、3日目の時点の疾病特異的なQOLの改善に設定。modified Sinonasal Outcome Test-16(SNOT-16) を用いて評価した。SNOT-16は、16の症状のそれぞれが過去数日間に生活の質に及ぼした影響を、スコア0から3(0は「全く問題なし」、3は「大きく影響」)で評価するもので、0.5ポイントの変化が臨床的に意義のある最小レベルとみなされる。

 2次評価指標は、患者自身が後ろ向きに評価した、登録時からの症状の変化や日常活動の変化、再発の有無、治療に対する満足度、有害事象などとした。症状の変化は、「大きく悪化」「やや悪化」「変化せず」「やや改善」「大きく改善」「症状なし」の6段階のいずれかを選択することとし、「症状なし」「大きく改善」と回答した患者を、「明らかな改善を経験した」と判断した。

 日常活動の変化は、通常の活動ができなかった、または欠勤した日数を比較した。再発は、「10日時点で明らかに改善していた患者が、28日目に症状の持続または悪化を訴えた場合」とした。治療に対する満足度は、10日時点で受けた治療が大いに役に立ったかどうかを尋ねて、「まさにそう思う」「そう思う」「どちらともいえない」「そう思わない」「全くそう思わない」のうち、「まさにそう思う」「そう思う」と答えた患者を「満足した」と判断。有害事象の有無も患者自身に尋ね、10日時点で評価した。

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