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JAMA誌から
胸部X線による肺癌検診に肺癌死亡率の低減効果なし

 胸部X線撮影を用いた肺癌スクリーニングの利益を検証するために行われた大規模な無作為化試験で、スクリーニングを4年間毎年実施しても、肺癌罹患率と肺癌死亡率のいずれにも好ましい影響は見られないことが明らかになった。米Minnesota大学のMartin M. Oken氏らが、JAMA誌2011年11月2日号に報告した。

 著者らは、PLCO(前立腺、肺、大腸、卵巣)癌スクリーニング試験の一部として、胸部X線ベースのスクリーニングの肺癌死亡に対する影響を評価すべく、1993年11月から米国内のスクリーニングセンター10施設で、55~74歳の15万4901人を登録した。半数は女性で、45%は喫煙歴なし、42%が過去の喫煙者、10%が現在喫煙者だった。

 7万7445人を年1回のスクリーニングに、7万7456人を通常のケア(スクリーニングなし)に割り付た。介入群には毎年、後前方向の胸部X線撮影を4年間(ベースラインとその後3年間)実施した。陽性判定が出た患者にはさらに精密検査を受けることを勧めたが、検査の選択などは主治医の判断に任せた。適用された精密検査の種類と合併症などの情報は、患者と主治医から聞き取ると共に医療記録から抽出した。

 癌の診断、死亡、死因の全てを登録から13年間、または09年12月31日のいずれか早い方まで追跡した。追跡期間の中央値は11.9年になった。

 主要アウトカム評価指標は肺癌死亡、2次評価指標は肺癌罹患率、精密検査に関連する合併症などに設定した。

 介入群でスクリーニングを受けた患者の割合は、初年度が86.6%、3年目(4回目)は79%だった。1回以上スクリーニングを受けた患者は全体の91.2%だった。陽性率は初年度が8.9%、1年目は7.1%、2年目は6.6%、3年目は7.0%になった。

 一方、対照群にも自主的にスクリーニングを受けていた患者が11%いた。

 スクリーニングの判定が偽陽性だった患者1万2718人のうち54人(0.4%)が精密検査の合併症を経験していた。最も多かったのが気胸で、合併症発生件数の29%を占めた。続いて無気肺が15%、感染が10%となっていた。

 13年間の累積肺癌罹患率は、介入群が1万人-年当たり20.1、対照群は19.2で、率比は1.05(95%信頼区間0.98-1.12)だった。

 13年間の肺癌死亡は、介入群が1213人、対照群が1230人で、累積肺癌死亡率は1万人-年当たり14.0と14.2、率比は0.99(0.87-1.22、P=0.48)となり、両群に有意差は見られなかった。喫煙歴のない者、過去の喫煙者、現在喫煙者のそれぞれを比較しても、また、男性のみ、女性のみを比較しても、両群間の率比は有意な値を示さなかった。

 肺癌以外の原因による累積死亡率は、介入群が1万人-年当たり105.2、対照群が107.1で、率比は0.98(0.95-1.01)だった。

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