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JAMA誌から
抗TNFα薬服用者に重症感染症リスクの上昇なし
ただし関節リウマチにおけるインフリキシマブ投与はリスク上昇の可能性

 抗TNFα薬の投与を受けている自己免疫疾患患者の重篤な感染症リスクは、生物製剤以外の治療薬を服用している患者と差がないことが、米Vanderbilt大学のCarlos G. Grijalva氏らが行った大規模後ろ向きコホート研究で明らかになった。ただし、関節リウマチRA)患者においては、インフリキシマブは、他の抗TNFα薬や非生物製剤に比べ有意な感染症リスク上昇をもたらす可能性が示された。論文は、JAMA誌電子版に2011年11月6日に掲載された。

 RAや乾癬などの自己免疫疾患患者に、腫瘍壊死因子α(TNFα)の作用を阻害する薬剤が投与される機会が増えているが、その安全性については不安が残っている。著者らは、入院を必要とする重篤な感染症について、抗TNFα薬と非生物製剤の処方開始から1年間のリスクを比較する大規模後ろ向きコホート研究を実施した。

 政府の資金を得て複数機関が参加した大規模なプロジェクトSafety Assessment of Biologic Therapy(SABER)の一部として、日常診療の場で、抗TNFα薬の投与を開始した患者の入院を必要とする重症感染症のリスクが、非生物製剤の投与を開始した患者に比べて高いかどうかを調べた。

 北カリフォルニア地域をカバーするKaiser Permanente、ニュージャージー州とペンシルバニア州の薬剤支援プログラム、テネシー州のメディケイド、テネシー州以外の全米のメディケイド/メディケアという4つの大規模なデータベースに1998~2007年に登録された患者の中から、RA、炎症性腸疾患、乾癬/脊椎関節症(乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎)と診断されていた人々のデータを抽出、複合して分析した。

 抗TNFα薬(インフリキシマブ、アダリムマブ、エタネルセプト)と非生物製剤(RAではレフルノミド、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン、炎症性腸疾患ではアザチオプリン、メルカプトプリン、乾癬/脊椎関節症ではメトトレキサート、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジン、レフルノミド)の処方記録を調べ、初回の処方を受けた患者を365日間追跡して、入院を必要とした重篤な感染症の罹患の有無を明らかにした。

 ベースラインで、年齢、性別、人種、居住地域(都市部かそれ以外か)、施設入所者か在宅か、居住地域の所得の平均、処方されている薬剤の種類、疾患の重症度の代替マーカーや炎症性マーカーを調べる検査のオーダー回数、感染による入院歴といった共変数に関する情報を収集、傾向スコアマッチング法を用いて調整した。

 主要アウトカム評価指標は、処方開始から12カ月以内の入院を必要とする重篤な感染症に設定。それぞれの疾患の患者のうち、抗TNFα薬の使用を開始した患者と傾向スコアがマッチする非生物製剤使用開始者を選び、Cox比例ハザード回帰分析モデルを用いて比較した。なお、ベースラインのステロイド薬の使用については傾向スコアを用いた調整に組み入れず、独立した共変数として分析した。

 複合コホートに含まれていたRA患者は13万9611人、うち分析対象とした薬剤の使用を開始していたのは3万5235人(うち抗TNFα薬は2万3590人)だった。同様に、炎症性腸疾患の患者は4万5188人で、対象薬剤の使用開始は7332人(抗TNFα薬は3073人)、乾癬/脊椎関節症の患者は5万1732人で、対象薬剤使用開始は1万2906人(抗TNFα薬は5145人)だった。

 傾向スコアがマッチしたペア(抗TNFα薬開始者と非生物製剤開始者)は、RA患者では1万484組、炎症性腸疾患患者は2323組、乾癬/脊椎関節症患者では3215組となった。これらの患者の20%は65歳以上だった。

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