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JAMA誌から
電子線滅菌の透析膜は血小板減少症リスクを高める
電子線以外で滅菌した透析膜と比べたリスクは3.6倍

 電子線滅菌された透析膜を含むダイアライザー(透析機器)を用いて人工透析を行うと、その他のダイアライザーを使った人工透析に比べて、透析後の血小板減少症発生リスクが約3.6倍になることが、カナダBritish Columbia大学のMercedeh Kiaii氏らが行った系統的な大規模調査で分かった。論文は、JAMA誌2011年10月19日号に掲載された。

 透析膜に天然素材が用いられていた時代は、透析後に患者に血小板減少症が起こるかどうかを指標に、膜の生体適合性が評価されていた。その後、生体適合性の高い合成高分子膜が用いられるようになり、膜に対する反応としての血小板減少症は見られなくなった。

 著者らは、単一の透析センターで、透析後に臨床的に意義のある血小板数減少を呈した20人全員が、電子線滅菌ダイアライザー使用後に血小板数の異常を示したことから、電子線滅菌と血小板減少症の関係を調べる大規模コホート研究を行うことにした。

 著者らが最初に発見した患者は、それまで使用していたガンマ線で滅菌されたポリスルホン膜から電子線滅菌ポリスルホン膜に切り替えたところ、透析後に血小板数の低下を示した。様々な検査や検討を行ったが原因は明らかにならず、透析機器関連の反応である可能性が強まった。そこで次の透析にはポリスルホン以外の透析膜をガンマ線滅菌したものを用いたところ、血小板減少は認められなくなった。

 以降、さらに19人の透析患者が同様の血小板減少症を呈し、電子線滅菌タイプ以外の透析膜への切り替えにより回復した。2人の患者には、不注意により再び電子線滅菌透析膜が適用されたが、やはり血小板減少症が発生したという。

 そこで著者らは、カナダのブリティッシュコロンビア州とアルバータ州で血液透析を受けている患者を対象に、血小板減少症の有病率と病因を調べる後ろ向きコホート研究を行った。

 ブリティッシュコロンビア州の血液透析患者1706人とアルバータ州南部の425人について、09年4月1日から10年11月30日までのデータを入手した。

 ブリティッシュコロンビア州では、以前は様々なタイプのダイアライザーが使われていたが、09年9月に電子線滅菌されたポリスルホン膜を主に用いるようになった。しかし、血小板減少症リスクが懸念されたため、10年5月に電子線以外の滅菌法の透析膜が使用されるようになった。

 アルバータ州では09年1月に、主に用いられていたガンマ線滅菌ポリスルホン膜の代わりに、電子線滅菌ポリスルホン膜が使われるようになった。だが、ブリティッシュコロンビア州と同様に、10年5月に電子線以外の滅菌法による透析膜に切り替えられた。

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