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JAMA誌から
左室拡張障害は加齢と共に増加し、心不全の予測因子に
平均61歳を4年間追跡、収縮障害は増加せず

 平均年齢61歳の人々を4年追跡すると、左室拡張機能障害の有病率は24%から40%に上昇し、その後6年間の心不全罹患の独立した予測因子になることが、米Mayo ClinicのGarvan C. Kane氏らが行った集団ベースのコホート研究で明らかになった。論文は、JAMA誌2011年8月24/31日号に掲載された。

 心不全の罹患率は年齢が高くなるにつれて上昇する。患者の約半数に収縮機能障害の存在を示す左室駆出分画(LVEF)の低下が見られるが、残りの半数はLVEF正常値を維持している。それらの人々の一部に、左室拡張機能の低下が見られる。これまでに、一般集団を対象に心エコー検査を行い、左室の拡張機能を調べた研究で、拡張機能障害の有病率は高く、拡張機能障害と心不全の間に関連があることが示されている。だが、加齢と拡張機能障害の関係や、拡張機能の低下が心不全の予測因子になるかどうかについては明らかではなかった。

 そこで著者らは、加齢に伴う左室拡張機能の変化を調べ、拡張機能の低下の予測因子を同定し、拡張機能障害とその後の心不全のリスクの関係を調べるために集団ベースのコホート研究を実施した。

 Olmsted County Heart Function Study(OCHFS)に参加した45歳以上の人々の中から無作為に選んだ2042人を対象に、1997~2000年に臨床評価を行い、医療記録から必要な情報を抽出し、心エコー検査を行った(第1回調査)。左室拡張機能は、パルスドプラー心エコー法による僧帽弁血流と肺静脈血流の測定値と、ドプライメージングにより測定した拡張早期僧帽弁輪部移動速度(e’)を基に評価して、以下の4群に分類した:正常、軽度障害(E/A比が0.75未満)、中等度障害(E/A比は0.75~1.5、E波の減速時間が140ミリ秒超、他にも左室拡張末期圧上昇を示す徴候あり)、重度障害(E/A比は1.5超、E波の減速時間が140ミリ秒未満、他にも左室拡張末期圧上昇を示す徴候あり)。なお、E/A比は、拡張早期左室流入速波 (E波)と心房収縮期流入速波(A波)の最高流速の比を示す。

 4年後となる01~04年に、第1回と同様の内容で第2回調査を行ったところ、生存していた1960人中1402人(72%)のデータが得られた。これら1402人を04~10年まで追跡し、その間の心不全の新規発症の有無を調べた。

 主要アウトカム評価指標は、拡張機能の変化と心不全罹患に設定した。

 第2回評価を受けた1402人の第1回評価時の年齢は61歳だった。その46.9%が第2回評価時には65歳以上になっていた。第1回評価と第2回評価の4年間に、高血圧患者の割合は25.8%から42.4%(P<0.001)に、糖尿病患者の割合は6.3%から10.3%(P<0.001)に、心不全患者は1.1%から2.2%(P=0.03)に増加していた。

 拡張機能の分類が可能だったのは1058人(75.5%)で、拡張機能障害の罹患率は4年間に23.8%(95%信頼区間21.2-26.4%)から39.2%(36.3-42.2%)(P<0.001)に増加し、中等度から重度の拡張機能障害の患者の割合は6.4%(4.9-7.9%)から16.0%(13.7-18.2%)(P<0.001)に上昇していた。

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