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JAMA誌より
たこつぼ心筋症の症状は多様、診断には心血管MRIが有用

 強いストレスがきっかけで生じるストレス心筋症たこつぼ心筋症)の臨床的な特徴はこれまで考えられていたより多様であること、また、その診断において、心血管MRI(CMRI)における特徴的な収縮パターンや可逆的組織変化の存在が有用な情報であることが、前向き研究で明らかになった。独Leipzig大学のIngo Eitel氏らが、JAMA誌2011年7月20日号に報告した。

 ストレス心筋症は、強いストレスがきっかけで生じる一過性の急性心不全で、世界に先駆けて日本で報告された。閉経女性に多く、左室機能不全を特徴とし、発症時は重症でも転帰は一般に良好で、合併症はまれといわれている。この病気の患者には、左室心尖部の無収縮という特異的な左室収縮パターンが報告されている。

 ストレス心筋症の患者は、受診時には急性冠症候群と同様の臨床徴候を示す患者が多く、欧米では急性冠症候群が疑われる患者の約2%がストレス心筋症という報告がある。だが、発症早期にそれらを区別する診断法は明らかではなかった。

 そこで著者らは、欧州と北米の多くの患者を対象として、ストレス心筋症の幅広い臨床症状を包括的に定義し、ストレス心筋症疑い患者の鑑別に役立つCMRIマーカーを同定しようと考えた。

 05年1月から10年10月まで、欧州と北米の7カ所の3次医療センターで前向き研究を実施した。連続する256人(平均年齢69歳)のストレス心筋症患者を、受診時および症状発現から1~6カ月後に評価した。

 受診時には、心電図、経胸壁心エコー、冠動脈造影、心室造影、血液検査、心臓血管MRイメージング(CMRI)などを実施した。

 ストレス心筋症の診断は、下記の条件を満たした場合とした。
 (1)急性の心イベントで、胸痛と呼吸困難のいずれかまたは両方を主症状とする
 (2)冠動脈1枝の灌流部分を超える領域の左室収縮異常(左室心尖部と左室中央部のいずれかまたは両方、もしくは左室基部の無収縮または収縮障害)を伴う一過性の収縮期機能不全
 (3)50%を超える冠動脈の閉塞または血管造影で示される急性のプラーク破綻なし
 (4)心電図に現れた新たな異常(ST上昇またはT波逆転波形)または中等度の心トロポニン値の上昇
 (5)褐色細胞腫なし
 (6)心筋炎または貫壁性梗塞を示すCMRIでの後期ガドリニウム増強なし

 1~6カ月後に、心電図とCMRIや心エコー、血液検査を行って診断を確認した。

 患者の89%(227人)が女性だった。全体の81%(207人)が閉経女性、8%(20人)は50歳以下の女性で、男性は11%(29人)だった。男女間の年齢には差はなかった(P=0.64)。

 88%(225人)は受診時に急性冠症候群と同様の症状を示した。

 発症のきっかけとなる強いストレスを発症前48時間以内に経験していた患者は182人(71%)で、感情的なストレス(身内や友人あるいはペットの死亡、人間関係での衝突など)は77人(30%)、肉体的ストレス(周術期または術後、急性呼吸不全など)は105人(41%)だった。

 心電図の異常は222人(87%)に認められた。トロポニンTの上昇は231人(90%)に見られた。

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