日経メディカルのロゴ画像

JAMA誌から
高齢糖尿病患者の骨折予測でも骨密度とFRAXスコアは有用

 高齢者の骨折リスク予測に広く用いられているTスコアFRAXスコアが、糖尿病患者の骨折リスク予測においても有用であることが、米California大学San Francisco校のAnn V. Schwartz氏らの研究で明らかになった。3件の前向き観察研究のデータを分析した結果、大腿骨頸部のTスコア低値とFRAXスコア高値は、糖尿病患者においても、股関節骨折、非脊椎骨折のリスク上昇と関係していた。論文は、JAMA誌2011年6月1日号に掲載された。

 米国では高齢者の骨折予防を目的とする介入の対象を、二重エネルギーX線吸収法(DXA)を用いて測定した大腿骨頸部の骨密度BMD)を基に算出するTスコア、またはTスコアとFRAX(WHOの骨折リスク予測アルゴリズム)スコアの併用により、同定している。だが、2型糖尿病患者は、非糖尿病患者よりBMDが高いにもかかわらず骨折リスクが高いという特異な状態にある。また、インスリン使用中の高齢患者の骨折リスクは非使用者よりも高いという報告もあることから、上記の方法では骨折ハイリスク患者を選出できないのではないかと考えられてきた。

 そこで著者らは、高齢の2型糖尿病患者を前向きに追跡し、TスコアやFRAXスコアと骨折の関係を調べることにした。分析に用いたのは、米国で地域在住の高齢者を登録して骨折について分析していた3件の観察研究(Study of Osteoporotic Fractures、Osteoporotic Fracture in Men Study、Health ABC study)のデータだ。

 主要アウトカム評価指標は、自己申告され、X線画像により確認された股関節骨折と非脊椎骨折とした。

 平均年齢73歳の男女1万6885人(女性9449人、男性7436人)が条件を満たした。女性の非糖尿病患者は8679人、糖尿病患者は770人で、インスリン使用者は138人。男性の非糖尿病患者は6237人、糖尿病患者は1199人で、インスリン使用者は134人だった。

 12.6年(中央値)の追跡で、糖尿病の女性患者770人のうち84人が股関節骨折を、262人が非脊椎骨折を1回以上経験していた。非糖尿病患者の股関節骨折は1117人、非脊椎骨折は3231人だった。

 大腿骨頸部のTスコアが1ユニット低下するごとの股関節骨折の年齢調整ハザード比は、糖尿病女性が1.88(95%信頼区間1.43-2.48、C統計量は0.72)、非糖尿病女性では2.23(2.06-2.41、0.74)だった。同様に、非脊椎骨折の年齢調整ハザード比は、糖尿病女性が1.52(1.31-1.75、0.64)、非糖尿病女性は1.53(1.47-1.60、0.62)となった。

 Cox比例ハザード回帰モデルを用いて女性の10年間の累積骨折リスクを求めたところ、股関節骨折と非脊椎骨折のリスクは、年齢とTスコアが同一でも非糖尿病患者に比べ糖尿病患者(インスリン使用者、非使用者のいずれも)の方が有意に高かった。

 次に、10年累積骨折リスクが同一の女性のTスコアを、非糖尿病患者と糖尿病患者の間で比較したところ、股関節骨折の場合の平均差は0.59(0.31-0.87)になった。これは、糖尿病患者のTスコアが-1.9だった場合の骨折リスクは、Tスコアが-2.5の非糖尿病女性と同等であることを意味する。非脊椎骨折の同様の比較では、Tスコアの平均差は0.91(0.61-1.21)だった。

 FRAXスコアも糖尿病女性の骨折リスクと関係していた。FRAX股関節骨折スコアが1ユニット上昇するごとの股関節骨折のハザード比は、糖尿病患者が1.05(1.03-1.07、C統計量は0.70)、非糖尿病女性では1.06(1.05-1.06、0.74)。FRAX骨粗鬆症性骨折スコアが1ユニット上昇するごとの非脊椎骨折のハザード比はそれぞれ1.04(1.02-1.05、0.64)と1.04(1.03-1.04、0.62)だった。

この記事を読んでいる人におすすめ