日経メディカルのロゴ画像

JAMA誌から
突発性難聴へのステロイド鼓室内投与は経口投与に劣らず

 特発性の突発性感音難聴に対する標準治療である、ステロイド経口投与鼓室内投与の聴力改善効果を比較する無作為化試験の結果が、JAMA誌2011年5月25日号に掲載された。著者の米Harvard大学医学部のSteven D. Rauch氏らは、2カ月後の聴力の回復の程度において、経口投与に対する鼓室内投与の非劣性を確認したと報告している。

 特発性の突発性感音難聴の治療に経口ステロイドが用いられるようになったのは30年以上前で、現在もこの方法が標準治療になっている。一方、過去15年間に、ステロイドの鼓室内投与の適用が増えている。鼓室内投与は患部のステロイドの濃度を高くできることから、効果はより高く、全身性の曝露に比べ有害事象は少ないのではないかと考えられているが、両者の治療の影響を比較した質の高い研究はなかった。

 有効性が同様で有害事象が少ないのであれば、鼓室内投与は好ましい選択肢になると考えた著者らは、04年12月から09年10月まで、大学付属施設、または地域の耳科学専門医療機関16施設で、前向きの無作為化非劣性試験を行った。

 対象となったのは、18歳以上の特発性の突発性感音難聴の患者で、発症まで両耳の聴力に差はなく、難聴側の純音聴力検査(PTA)値が50dB以上で正常側より30dB以上悪く、症状が現れて14日以内、という条件を満たした250人。既に経口ステロイド療法を開始している患者も少なからず存在したが、スクリーニング時にステロイドの使用期間が10日未満であれば登録可能とした。これらの患者を、無作為にステロイド経口投与または鼓室内投与に割り付けた。

 経口投与群(121人)には、60mg/日の経口プレドニゾンを14日間投与し、その後5日間で減薬した(50mg、40mg、30mg、20mg、10mgと減らした)。鼓室内投与群(129人)には、40mg/mLのメチルプレドニゾロン1mLを14日間に4回(3~4日に1回)鼓室内に投与した。追跡は治療終了後6カ月間行った。

 主要アウトカム評価指標は、治療終了後2カ月の時点の聴力(PTA)に設定。非劣性の定義は、両群の聴力の回復レベルの差が10dB未満とした。中間解析のルールを適用し、Lan-DeMetsのα消費関数(O’Brien & Flemingタイプ)を用いて調整して、「有意水準P=0.0479に基づいて求めた95.21%信頼区間の上限信頼限界が10未満であれば非劣性」とあらかじめ決めておいた。

 ベースラインの登録患者のPTA値の平均は、難聴側が86.6dB(95%信頼区間84.0-89.1dB)、正常側は17.2dB(15.8-18.7dB)、単語認識スコア(50の単語のうち正確に聞き取れた単語の数を%で示す)は難聴側が15.0%(12.3-17.6%)、正常側が97.9%(97.3-98.4%)だった。めまいは44%の患者に、耳鳴りは84%の患者に、耳閉感は69%に見られた。

 250人のうち、21%の患者は症状発現から72時間以内に登録されていた。1週間以内に登録された患者は全体の59%で、10日以内の登録は82%だった。登録前に経口ステロイド療法を1~10日受けていた患者が54.4%いた。

この記事を読んでいる人におすすめ