日経メディカルのロゴ画像

JAMA誌から
尿中ナトリウムが少ない方が心血管死亡リスクは高い
欧州で行われた大規模前向き研究の結果

 一般住民が食塩の摂取量を減らせば、心血管イベントは減るのではないかと考えられている。だが、ベルギーLeuven大学のKatarzyna Stolarz-Skrzypek氏らは、この定説に疑問を投げかける長期的な大規模研究の結果を、JAMA誌2011年5月4日号に報告した。著者らはこの論文で(1)24時間蓄尿中のナトリウム排泄量の増加に伴って収縮期血圧は上昇するが、拡張期血圧には影響は見られないこと、(2)ナトリウム排泄量が少ないほど心血管死亡リスクは高いこと、(3)ナトリウム排泄量と心血管イベントリスクの間には有意な関係はないこと、などを報告している。

 塩分摂取血圧の関係を示した集団ベースの観察研究や無作為化試験は、これまでに複数報告されている。特に、INTERSALT研究は、世界32カ国、52の集団を対象に尿中ナトリウム排泄量と血圧の関係について分析し、年齢上昇に伴う収縮期血圧と拡張期血圧の上昇はナトリウム排泄量が多い人ほど急激であると報告した。その後行われたメタ分析では、ナトリウム排泄量の低下が血圧低下に関係することが示された。また、塩分摂取を1日当たり3g程度減らすと心血管イベントが減少するとの報告もある。

 今回著者らは、ナトリウム排泄量がその後の血圧上昇や心血管イベントの予測因子になるかどうかを調べるため、集団ベースの前向き研究を行った。

 Flemish Study on Genes、Environment and Health Outcomes(1985~2004年)またはEuropean Project on Genes in Hypertension(99~01年)に登録された家族のメンバーで、ベースラインで必要なデータが記録されており、心血管疾患ではなかった3681人(全員が欧州在住の白人)をアウトカムコホートとした。このうち、追跡調査への参加に同意した患者の中から、ベースラインで高血圧だった760人を除外した2096人を高血圧コホートとし、高血圧発症について評価した。さらに、ベースラインと05~08年の両方で血圧とナトリウム排泄量が測定されており、降圧薬の投与を受けていないなどの条件を満たした1499人を血圧コホートとし、ナトリウム排泄量の変化と血圧変化の関係を調べた。

 アウトカムコホートでは、中央値7.9年、3万9780人・年の追跡で219人が死亡し、232人が致死的または非致死的心血管イベントを経験していた。死亡のうち心血管死亡は84人だった。

 心血管死亡は24時間ナトリウム排泄量が多いほど低かった。コホートをベースラインの尿中ナトリウム排泄量に基づいて3分位群に分けたところ、心血管死亡は、最低3分位群(平均107mmol)の1220人中50人、中間3分位群(平均168mmol)の1250人中24人、最高3分位群(平均260mmol)1211人中10人(P<0.001)に発生し、死亡率はそれぞれ4.1%(95%信頼区間3.5-4.7%)、1.9%(1.5-2.3%)、0.8%(0.5-1.1%)となった。

 コホート全体と比較した各3分位群の心血管死亡リスクを求めるCox回帰分析を実施。ベースラインの性別、年齢、血圧、BMI、飲酒量、降圧薬の使用、尿中カリウム排泄量、喫煙歴、糖尿病、総コレステロール値、登録された施設、学歴などを共変数として調整を行ったところ、最低3分位群の心血管死亡の多変量ハザード比は1.56(1.02-2.36、P=0.04)、中間3分位群が1.05(0.72-1.53)、最高3分位群は0.95(0.66-1.38)となり、ナトリウム排泄量と心血管死亡率の間には有意な逆相関関係が認められた(P=0.02)。

この記事を読んでいる人におすすめ