7価の結合型肺炎球菌ワクチン(PCV-7)の接種拡大と時を同じくして、多剤耐性の血清型19A肺炎球菌の鼻咽頭保菌と、この菌の感染による侵襲的な呼吸器感染症が複数の国で増えている。オランダWilhelmina小児病院のElske J. M. van Gils氏らは、無作為化試験の事後解析を行い、小児に対するPCV-7の3回接種が鼻咽頭への19A定着リスクを高めることを明らかにした。論文はJAMA誌2010年9月8日号に掲載された。
抗菌薬の選択圧に加えて、PCV-7の接種も、血清型19Aの定着リスクを高めることを示した研究はこれが初めてだ。
19Aはしばしば抗菌薬に対して多剤耐性を示し、中耳炎や侵襲性肺炎球菌感染症と関係する。PCV-7の導入と、19Aの保菌や19Aによる侵襲性感染症の関係については、かねて議論があった。ワクチン接種を行っていない国でも19A株の分離が増えているという報告や、抗菌薬の処方が多い国で19A株の感染が増えているといった報告があるからだ。
そこで著者らは、多剤耐性19A株の増加とPCV-7の普及の関係を探る無作為化試験が必要と考え、今回は、19Aの鼻咽頭定着に対するワクチン接種の影響を調べた無作為化試験の事後解析を行った。
この試験は、抗菌薬耐性獲得率が低いオランダで、PCV-7が広く接種されるようになる前に行われたもので、健康な新生児1003人を生後6週の時点で登録し、鼻咽頭への肺炎球菌新規定着を生後24カ月まで追跡した。登録は05年7月7日から06年2月9日まで行われ、追跡終了は08年2月14日だった。
1005人の登録小児を無作為にPCV-7の2回接種(生後2カ月と4カ月、336人)、2+1回接種(生後2カ月、4カ月、11カ月、336人)、接種なし(333人)に割り付けた。per-protocol分析の対象になったのは、割り付けられた通りワクチン接種を受け、追跡を完了した948人(2回接種群327人、2+1回接種群318人、接種なし群303人)。
生後6週と6カ月、12カ月、18カ月、24カ月に全員から鼻咽頭スワブを採取し、19Aの初回検出をカウントして累積定着率を推定した。受診のたびに抗菌薬使用の有無を尋ねた。
主要アウトカム評価指標は、生後6カ月から24カ月までの鼻咽頭への19A株の累積定着率とした。
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