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JAMA誌から
妊娠初期の抗ヘルペス薬は出生異常リスクを高めない

 単純ヘルペス(herpes simplex)ウイルス、帯状疱疹(herpes zoster)ウイルスの感染に対する治療には、アシクロビルバラシクロビルファムシクロビルなどの抗ウイルス薬が用いられる。これらの薬剤を妊娠初期の女性が使用しても、児の出生異常リスクは上昇しないことが、デンマーク血清学研究所のBjorn Pasternak氏らが行った大規模な集団ベースのコホート研究で明らかになった。論文は、JAMA誌2010年8月26日号に掲載された。

 妊婦がこれらのヘルペスウイルスに感染し、治療が必要になることは少なからずあるが、これらの薬剤が妊娠初期に用いられた場合の安全性については十分に調べられていなかった。米食品医薬品局(FDA)の胎児に対する安全性分類では、アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルはカテゴリーB(動物実験ではリスクの報告がないが、妊婦での対照試験に由来するデータはない、または動物実験でリスクが認められたが妊婦での対照試験で問題なし)に分類されている。

 今回著者らは、妊娠初期の抗ヘルペスウイルス薬曝露と出生異常の関係を明らかにするために、デンマーク全土でコホート研究を実施した。

 分析対象となったのは、1996年1月1日から2008年9月30日にデンマーク全土で誕生した出生児。デンマーク在住の女性の出産と新生児に関する情報をすべて登録しているMedical Birth Register と、薬剤の処方記録を集めたPrescription Drug Register、そして、患者の受診と診断に関するデータを登録しているNational Patient Registerから情報を抽出。抗ウイルス薬の処方、出生異常の有無、交絡因子候補(出生年、母親の出産経歴、妊娠時の年齢、妊娠中の喫煙の有無、母親の母国、妊娠時の居住地域、学歴、社会経済的地位、母親の妊娠中の病歴や薬剤の使用歴など)などに関する個人レベルの情報を得た。

 全出生児の中から、染色体異常、遺伝性疾患、既知の原因による先天異常症候群、先天性ウイルス感染症がなかった83万7795人(うち3万4787人が多子出産)について分析を進めた。

 主要アウトカムは評価指標は、生後1年間に診断された主要な出生異常とした。

 出生児83万7795人のうち、生後1年以内に主要な出生異常と診断されたのは1万9960人(2.4%)だった。1804人の妊婦が妊娠初期に、アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルのいずれかを使用していた。主要な出生異常は、抗ウイルス薬暴露群では40人(2.2%)、非暴露群では1万9920人(2.4%)で、調整有病オッズ比は0.89(95%信頼区間0.65-1.22)となり、有意差は見られなかった。

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