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JAMA誌から
シンガポールの新型インフル血清転換者は14%止まり
第2波でも大量の感染者が発生する可能性

 新型インフルエンザ2009 H1N1)の感染者の一部は、何ら症状を示さない(不顕性感染する)ことが明らかになって以来、感染率をより正確に知るためには血清学的調査が必要と考えられている。そこで、シンガポールTan Tock Seng病院のMark I. C. Chen氏らは、2009年10月までの2009 H1N1血清転換者の割合を調べるため、コホート研究を行い、一般成人の血清転換率は13.5%にとどまることを明らかにした。論文は、JAMA誌2010年4月14日号に掲載された。

 2009 H1N1の感染率を、血清学的調査を行って評価したコホート研究はこれが初めて。

 シンガポールでは、09年5月末に最初の2009 H1N1感染者が見つかった。6月の後半に流行が始まり、ピークは8月初めにやってきたが、1カ月経たぬうちに流行は縮小した。

 著者らは、以下の4コホートを対象に、流行前(保管されていた血清または流行が広まる前に採取された血清)、流行の最中(流行のピークから4週後頃に採取された血清、8月19日から9月3日の間に採取)、流行後(流行が縮小してから4週後頃に採集された血清、9月29日から10月15日の間に採取)の標本を得て、赤血球凝集阻害(HI)試験を行った。ベースラインに比べHI力価が4倍以上上昇したケースを血清転換ありと判断した。

 (1)一般集団(シンガポールコホート研究コンソーシアムに登録されている多民族コホートから選出した、21~75歳の健康な一般市民)838人(平均年齢43歳)、(2)兵士1213人(平均年齢22歳)、(3)急性期病院(Tan Tock Seng病院)のスタッフ558人(平均年齢34歳)、(4)長期介護施設2カ所のスタッフと入所者300人(入所者が全体の54%、平均年齢56歳)。

 男女比や過去に季節性インフルエンザワクチンの接種を受けたことがある人の割合は、コホート間で大きく異なっていた。

 質問票を用いて、呼吸器症状、頭痛、筋痛、発熱といったインフルエンザ関連症状に関する情報も収集した。一般市民には2週間に1回電話で調査を行い、その他のコホートについては採血時に調査を実施した。

 ベースラインの幾何平均力価(GMT)は、一般市民が5.8(95%信頼区間5.6-6.0)、兵士が7.4(7.1-7.7)、急性期病院のスタッフが7.6(7.2-8.1)、長期介護施設の人々は6.4(6.0-6.9)で、一般市民と他の3コホートの力価の間の差は有意だった。

 その後1回以上標本採取が行われた人の中で血清転換が確認されたのは、一般人の98人(13.5%、11.2-16.2%)、兵士の312人(29.4%、26.8-32.2%)、急性期病院のスタッフ35人(6.5%、4.7-8.9%)、長期介護施設の人々では3人(1.2%、0.4-3.5%)だった。

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