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JAMA誌から
小児へのインフルエンザ予防接種の集団免疫効果を実証
カナダで行われた無作為化試験の結果

 インフルエンザの伝播に大きな役割を果たす小児に予防接種を行えば、ハイリスク者を含む集団全体の感染を抑制できると考えられている。カナダMcMaster大学のMark Loeb氏らは、この仮説を検証するために無作為化試験を行い、小児への予防接種によって、実際に集団内の非接種者の感染が有意に減ることを示した。詳細は、JAMA誌2010年3月10日号に報告された。

 現在、インフルエンザの予防接種は、ハイリスクの人々に対する免疫の付与を目的として行われている。だが、感染の拡大を予防し、集団全体の合併症発生率を下げるためには、ハイリスク者も含む集団全体での伝播を抑制する戦略が有効と考えられる。伝播に主な役割を果たす子供と青少年にワクチンを接種すれば、免疫のない人々も感染から守れる可能性がある。

 この仮説を検証する質の高い無作為化試験はこれまで行われていない。試験設計が非常に難しいからだ。

 そこで著者らは、フッター派(隔絶的な生活を送っているキリスト教の一派)のコロニーに注目した。フッター派の人々は60~120人で1つのコロニーを形成し、周囲の町や市から隔離された生活環境を維持している。

 著者らは、既存の情報に基づいて、集団に所属する健康な小児の70%以上が不活化ワクチンを接種していれば、その集団に属する、高齢者や妊婦も含むすべての非接種住民の感染が間接的に抑制されると仮定し、フッター派の人々を対象にクラスター無作為化試験を行ってこれを検証することにした。

 アルバータ州、サスカチュワン州、マニトバ州在住のフッター派のコロニーの中から、住民の中にハイリスク者が10人以上存在する集団を選んだ。条件を満たしたのは46コロニー。22コロニーを介入群、24コロニーを対照群とした。

 2008年10月30日から2008年11月13日にかけて、学校に通う3歳から15歳までの健康な小児947人に予防接種を開始。介入コロニーに属する小児502人には2008~2009季節性インフルエンザ不活化ワクチンを、対照コロニーの445人にはA型肝炎ワクチンを接種した。接種対象者におけるワクチンカバー率は、介入コロニーでは83%、対照コロニーでは79%だった。

 各コロニーの予防接種が完了して2週間たった時点から2009年6月23日まで追跡。インフルエンザ様の症状を呈した患者から標本を採取し、リアルタイムPCRを行って感染を確認した。
 
 主要アウトカム評価指標は、リアルタイムPCRによって確認されたA型とB型のインフルエンザ感染確定例に設定した。

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