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JAMA誌から
ABI低値者へのアスピリン投与に一次予防効果なし
スコットランドで行われた無作為化試験の結果

 足関節上腕血圧比ABI)の低値はアテローム硬化の存在を示唆し、心血管イベントのリスク上昇と関係することが知られている。そこで、スコットランドEdinburgh大学のF. Gerald R. Fowkes氏らは、心血管疾患歴のない一般の人々からABI低値者を選出してアスピリンを投与すれば、心血管イベントの発生を予防できるのではないかと考え、無作為化試験を行った。だが、得られた結果はアスピリン投与の利益を示さなかった。論文は、JAMA誌2010年3月3日号に掲載された。

 先に行われた、16件のコホート研究を対象とするメタ分析では、ABI 0.90以下の男性が10年以内に主要な冠イベントを経験するリスクは27%、ABI正常域(1.11~1.40)の人々では9%、女性ではそれぞれ19%と6%という結果が得られている。

 ABI値は非侵襲的な操作で簡単かつ安価に得られるため、予防的な介入が有効な患者を同定するためのスクリーニングに用いることが可能と考えられる。スクリーニングにより同定されるABI低値者が無症候のハイリスク者であるなら、予防的介入は有益だろう。

 著者らは、ABI低値を指標に一般集団の中からハイリスク患者を選出し、アスピリンの利益を調べることにした。アスピリンについては、血管イベントの2次予防には有効だが、1次予防に広く用いた場合の効果はわずかであることが示されている。

 この二重盲検の無作為化試験は、98年4月から08年10月まで行われた。スコットランド中央部に住む50~75歳の男女2万8980人を登録。ベースラインで血管疾患歴がなく、アスピリンまたはワルファリンを使用していなかった人々を対象に、ABIスクリーニングを受けるよう勧誘した。

 このスクリーニングで、ABI低値(0.95以下)を示した3350人を100mgアスピリン(1675人)または偽薬(1675人)に割り付け、1日1回投与した。

 主要エンドポイントは、初回の致死的または非致死的冠イベント・脳卒中・血行再建術施行を合わせた複合イベントに設定。2次エンドポイントは、初回血管イベント(主要エンドポイントに設定された複合イベント・狭心症・間欠性跛行・一過性の虚血発作)と全死因死亡とし、intention-to-treatで分析した。

 登録された患者の72%は女性、ABIの平均値は0.86、総コレステロール値は238.5mg/dLだった。33%が現在の喫煙者で、3%は糖尿病と診断されていた。

 平均8.2年の追跡の間に、主要エンドポイントに設定された複合イベントを経験したのは357人。1000人-年当たりの発生率は13.5(95%信頼区間12.2-15.0)となった。アスピリン群のイベント発生率は1000人-年当たり13.7(11.8-15.9)、偽薬群が13.3(11.4-15.4)で、ハザード比は1.03(0.84-1.27)。偽薬群とアスピリン群の間に有意な差は見られなかった。

 ベースラインの患者特性で調整しても、差は有意にならなかった(ハザード比は1.00、0.81-1.23)。

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