日経メディカルのロゴ画像

JAMA誌から
1回の全下肢静脈エコーで陰性ならVTE発生率は低い
下肢DVTが疑われる4731人を対象としたメタ分析の結果

 症候性の下肢深部静脈血栓症DVT)疑い例の多くに、複数回の下肢静脈エコーが行われている。米Utah大学のStacy A. Johnson氏らは、メタ分析を行い、全下肢をカバーする超音波検査を単回実施し、陰性判定を受けた患者については、抗凝固薬の投与がなくてもその後3カ月間の静脈血栓塞栓症VTE)の発生率は低いことを明らかにした。論文は、JAMA誌2010年2月3日号に掲載された。

 これまで、DVTの診断には静脈造影が用いられてきた。しかし近年、静脈造影の代替として、圧迫法を用いる超音波検査(CUS)が広く用いられるようになっている。CUSの近位部DVT(膝より上)の検出精度は高いが、遠位部DVT(膝より下)については不安が残るため、ガイドラインは、最初の検査で陰性だった患者には、5~7日後に遠位部の静脈を対象とするCUSを実施するよう勧めている。だが、再検査で陽性になるのは1~2%にとどまる。

 著者らは、下肢全体(腸骨静脈からふくらはぎの静脈まで)の画像をキャプチャーできる全下肢CUSを行うと、1回の検査で遠位部DVTと近位部DVTを診断、またはそれらの可能性を排除できるのではないかと考えた。だが、実際にこの検査で陰性となった患者の臨床転帰を明らかにしないと、日常診療に利用できるかどうかは判断できない。そこで著者らは、系統的レビューとメタ分析を行うことにした。

 目的は、「下肢DVTが疑われ、単回の全下肢CUS検査で陰性と判定された場合には抗凝固治療を行わない」方法の安全性を知ること。また、受診時にDVTである可能性が中程度~高度で、単回の全下肢CUSの結果のみに基づいてDVTを否定することに不安が残る患者の臨床転帰を明らかにすることに置かれた。

 MEDLINE、EMBASE、CINAHL、LILACS、コクラン、Health technology assessment database(HTA)といった文献データベースに登録されていた、1970年1月から2009年11月までに発表された論文の中から、以下の条件を満たすものを選出した:無作為化試験または前向きのコホート研究で、DVTが疑われる症候性の患者のうち、全下肢CUSの結果が陰性となり抗凝固治療を中止された人々を少なくとも90日間追跡し、VTEイベントの有無を調べたもの。

 7件(無作為化試験は1件のみ)が条件を満たした。それらは、計1万1851人をスクリーニングし、1万90人を登録していた。

 受診時にDVTと診断された患者や、追跡期間中に何らかの理由で抗凝固薬の投与を受けた患者を除外するなどして、最終的に条件を満たした4731人をメタ分析の対象とした。

この記事を読んでいる人におすすめ