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JAMA誌から
軽症うつ病患者への抗うつ薬の効果、偽薬との差はわずか
6件の無作為化試験のメタ分析の結果

 うつ病患者に対する抗うつ薬の有効性を示した無作為化試験は数多く行われている。しかし、うつ病患者は偽薬に反応するケースも少なくない。そこで米Pennsylvania大学のJay C. Fournier氏らは、実薬と偽薬の症状軽減に対する影響を厳密に比較するメタ分析を行った。この結果、実薬群と偽薬群の間に臨床的に意義のある差が認められたのは、ベースラインで重症度の高い患者だけだった。論文は、JAMA誌2010年1月6日号に掲載された。

 うつ病患者を対象に偽薬と抗うつ薬の有効性を評価する無作為化比較試験では、ほとんどの場合、偽薬群にもうつ症状の改善を経験する患者が出てくる。いくつかのメタ分析で、偽薬群におけるそうした患者の割合は、ベースラインの重症度が低い患者を集めた試験ほど大きいことが示唆されていた。

 しかし、対象に軽症や中等症の患者が含まれている試験はわずかしかない。また、多くの試験が偽薬を用いたウォッシュアウト期間を設けて、偽薬に反応しやすい患者をあらかじめ登録から除外していた。したがって、臨床試験の結果を日常診療に広く適用できるかどうかは明らかではない。また、近年、より軽症の患者が受診するようになり、それらの患者にも抗うつ薬が有効なのかどうかを確認する必要が高まっていた。

 そこで著者らは、ベースラインの重症度が様々な幅広いうつ病患者を登録し、ウォッシュアウトを行わずに抗うつ薬と偽薬の効果を比較した臨床試験を対象に、当初の重症度と治療(実薬または偽薬)の関係を調べるメタ分析を行うことにした。

 PubMed、PsycINFO、コクランライブラリに1980年1月から2009年3月に登録された研究の中から、FDAの承認を得ている抗うつ薬に関する大規模な無作為化試験で、大うつ病または小うつ病の患者を登録している研究を選出した。この中から、必要なオリジナルデータが提供されている、成人の外来患者を対象としている、抗うつ薬と偽薬を6週間以上比較している、偽薬によるウォッシュアウトを行っていない、評価にHDRS(ハミルトンうつ病評価尺度)を用いている、個々の患者に関するデータを研究者から直接入手できる――といった条件を満たす研究を選んだ。

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