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JAMA誌から
カナダとメキシコでICUに入院した新型患者の多くは若年成人
急速に呼吸器症状が悪化、多臓器不全も進行

 新型インフルエンザ2009 H1N1)感染が重症化し、ICUへの入院が必要になるのはどのような患者なのか。また、どのような治療を適用すれば転帰良好となるのか―。この春、重症患者を経験したカナダとメキシコの研究者たちは、オーストリアで2009年10月11~14日に開催された欧州集中治療学会議の年次総会で、その概要を発表すると共に、詳細をJAMA誌電子版に2009年10月12日に報告した。

 エディトリアルでこれらの論文について解説した、米Pittsburgh大学のDouglas B. White氏らは、いずれの論文も、2009 H1N1感染によりICUに収容される人々の多くが、ワクチン接種方針において優先順位が最も低い60歳までの比較的健康な成人であることに触れ、「呼吸不全が急速に悪化し、通常の機械的人工換気では低酸素血症がなかなか改善せず、人工換気を12日程度必要としたことに注意しなければならない」と述べている。さらに、極めて重症な患者が死を回避できるかどうかは、担当医の、呼吸管理と補助的な治療の能力に依存する可能性がある、という。

 カナダでは肺に対するレスキュー療法が多くの患者に適用されていた。この治療は注意深い監視の下に適用しないと有害になり得るが、米国でも多くの病院がレスキュー療法の専門家を有しておらず、24時間対応することは難しい、とWhite氏らは指摘する。

 White氏らは、発症者が著しく増加し、ICUでの管理が必要な患者が次々と搬送される事態を想定し、(1)地域内で重症患者を引き受ける病院を限定する、(2)遠隔医療(テレメディシン)を利用する、(3)重症患者を引き受ける病院に専門家を配置するようスタッフを一時的に入れ替える、といった対策を提案している。同時に、生命維持システムを適用する患者とそうでない患者を判定しなければならなくなった場合に備えて、明確で公正な基準を作製しておくべきだ、と述べている。

 以下に、カナダとメキシコの論文の概要を紹介する。

 カナダSt Boniface病院のAnand Kumar氏らは、2009年4月16日から7月13日までに2009 H1N1に感染し、極めて重症となり、同国内の38カ所のICUに入院した成人と小児の患者168人を対象に、前向き観察研究を行った。

【重症例の定義、主要アウトカム】
 (1)ICUへの入院、または侵襲的もしくは非侵襲的な機械的人工換気を必要とする、(2)呼気酸素濃度(FIO2)が60%以上、(3)強心薬または昇圧薬の静脈内投与が必要、を満たす患者を「極めて重症」とし、分析対象とした。

 重症度はAPACHE IIとPRISM III(小児用)スコアを用いて評価。併存疾患については、うっ血性心不全、脳血管疾患、慢性腎疾患、慢性肝疾患、癌、免疫抑制療法中のいずれか1つ以上を満たした患者を「主要な併存疾患あり」と判定した。

 主要アウトカム評価指標は、28日死亡率と90日死亡率。2次アウトカム評価指標は、機械的人工換気を適用された患者の割合と適用期間、ICU入院期間に設定した。

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