日経メディカルのロゴ画像

JAMA誌から
大腸癌患者のアスピリン常用は死亡リスクを低減か
診断後に常用した患者では大腸癌死亡リスクが約30%減少

 大腸癌診断後のアスピリン使用が、患者の大腸癌死亡と全死因死亡を有意に低下させる可能性が、米Massachusetts総合病院のAndrew T. Chan氏らが行った観察研究により示された。詳細は、JAMA誌2009年8月12日に報告された。

 これまでに、アスピリンが大腸腺腫と大腸癌のリスクを低減することを示す無作為化試験の結果は数多く得られており、アスピリンやCox-2阻害薬がハイリスク患者の大腸腺腫発生を阻害することも示されている。動物モデルでは、これらの薬剤が腫瘍の増殖と転移を阻害することが明らかになっているが、既に大腸癌と診断された患者がアスピリンを常用した場合に利益が得られるかどうかは明確ではなかった。

 著者らは、前向きコホート研究で得られたデータを分析して、大腸癌診断後のアスピリン常用が大腸癌死亡と全死因死亡に及ぼす影響を評価した。

 医療従事者を対象とする2件の大規模な前向きコホート研究(Nurses' Health Study:NHSとHealth Professionals Follow-up Study:HPFS)に参加した人々の中から、登録時に大腸癌に罹患しておらず、2002年までに非転移性のステージI、II、またはIIIの大腸癌と診断された患者で、2008年6月1日までの追跡でアスピリン使用に関するデータが得られていた1279人(男性439人、女性840人)を分析対象とした。

 大腸癌の診断以前に癌の既往があった患者は除外した。

 主要アウトカム評価指標は、大腸癌死亡と全死因死亡に設定。

 中央値11.8年の追跡で、1279人の大腸癌患者のうち、480人が死亡した。うち222人は大腸癌による死亡だった。

 診断の前後にアスピリンを常用していなかった患者は536人(42%)、診断の前後に常用していた患者は366人(29%)、診断前のみ常用は194人(15%)、診断後のみ常用は183人(14%)だった。アスピリン使用の理由として多かったのは、女性では頭痛や関節痛など。男性では心血管リスク低減を目的とする人が多かった。

 大腸癌診断後、アスピリンを常用していた患者549人では、大腸癌死亡が81人(15%)、全死因死亡は193人(35%)だった。診断後にアスピリンを使用していなかった730人では、大腸癌死亡が141人(19%)、全死因死亡は287人(39%)だった。5年生存率は、アスピリン常用者が88%、非使用者が83%。10年生存率は74%と69%だった。

 診断後のアスピリン常用は、大腸癌死亡、全死因死亡のリスク低下と有意に関係していた。非使用者と比較すると、診断時の年齢、性別、診断年度、大腸癌のステージ、原発部位、大腸癌の分化度、喫煙、身体活動、BMI、大腸癌家族歴などで調整した大腸癌死亡のハザード比は0.71(95%信頼区間0.53-0.95)、全死因死亡のハザード比は0.79(0.65-0.97)となった。

 反対に、診断前のアスピリン使用は、大腸癌死亡、全死因死亡のいずれにも有意な影響を及ぼしていなかった。

 一方、診断前にはアスピリンを使用しておらず、診断後に使用を開始した183人の多変量調整ハザード比を求めたところ、大腸癌死亡については0.53(0.33-0.86)、全死因死亡も0.68(0.51-0.92)と、リスク低下はより大きくなった。

 ところが、診断の前後にアスピリンを常用していた366人を対象にハザード比を求めると、大腸癌死亡は0.89(0.59-1.35)、全死因死亡は0.95(0.71-1.28)で、いずれも有意なリスク減少を示さなかった。

この記事を読んでいる人におすすめ