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JAMA誌から
統合失調症患者の暴力犯罪リスク上昇は薬物濫用がある場合
遺伝的または幼少期の環境因子も関与

 統合失調症患者は、非患者に比べ暴力犯罪にかかわるリスクが4~6倍高いと考えられている。英Oxford大学のSeena Fazel氏らは、統合失調症に薬物濫用と遺伝的環境的要因が加わった場合に、暴力犯罪にかかわるリスクが大きくなる可能性を示した。詳細は、JAMA誌2009年5月20日号に報告された。

 これまでに行われた10件を超える疫学研究では、統合失調症と暴力行為の関係を示す結果が示されているものの、それぞれが推定したリスクは、一般集団と同等であるという結果から、一般集団の7倍に上るという結果まで、ばらつきが大きかった。このように統合失調症と暴力犯罪の関係を示す明確なエビデンスは示されていないが、現在のガイドラインは、統合失調症患者全員に対して暴力行為を犯すリスクの評価を推奨している。

 今回著者らは、統合失調症患者の暴力犯罪リスクと、これに対する薬物濫用、遺伝的な要因や幼少期の環境要因の影響を知るために縦断的研究を行った。

 スウェーデン全体をカバーする入院登録と1973~2006年の刑事裁判における有罪判決登録、そしてMulti-Generation Registerなどに登録されたデータを関連付けて分析した。

 15歳以上で、1973年1月以降に複数回入院し、退院時に2回以上統合失調症との診断を受けていた患者8003人(診断時の平均年齢は27.2歳)を選出。それらの患者について、アルコール濫用または依存と薬物濫用または依存の有無を調べた。統合失調症患者のうち兄弟がいたのは4674人、患者の兄弟で統合失調症ではなかった人は8123人いた。統合失調症診断後の暴力犯罪リスクを比較する対照群として、この病気ではない一般の人々(8万25人)を選んだ。

 ベースラインで、交絡因子候補(年齢、性別、収入、配偶者の有無、移民かどうか)と仲介因子(薬物濫用の有無)について評価した。ただし今回は、統合失調症患者に適用された治療に関する情報は得ていない。

 主要アウトカム評価指標は、暴力犯罪(殺人、暴行、強盗、放火、性犯罪、脅迫、威嚇)とし、住居侵入、交通違反、麻薬犯罪などは除外した。

 分析の結果、統合失調症患者の中で1054人(13.2%)が1件以上の暴力犯罪を犯していた。対照群では4276人(5.3%)で調整オッズ比は2.0(95%信頼区間1.8-2.2)となった。対照を一般集団から患者の兄弟で統合失調症ではない人々に変えると、オッズ比は1.6(1.3-1.8)に下がった。

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