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JAMA誌から
ACS後のクロピドグレル+PPIで有害イベントが増加
PPIがクロピドグレルの効果を弱める可能性

 急性冠症候群ACS)後の患者にアスピリンとクロピドグレルを投与すると、心血管イベントの再発を抑制できる。しかし、クロピドグレル処方時に消化管出血の予防を目的としてプロトンポンプ阻害薬PPI)を併用すると、全死因死亡またはACSによる再入院のリスクが1.25倍になる――。そんな結果が、米国Denver退役軍人医療センターのP. Michael Ho氏らが行った後ろ向き研究によって得られた。論文は、JAMA誌2009年3月4日号に掲載された。

 先に、フランスBrest大学の研究者たちによって、PPIのオメプラゾールがヒトの体内でクロピドグレルの抗血小板作用を減じることが示唆されていた。だが、クロピドグレルを必要とする患者に対してPPIが臨床的に意味のある影響を及ぼすのかどうかは明確ではなかった。

 そこで著者らは、ACS(急性心筋梗塞または不安定狭心症)により入院し、退院時にクロピドグレルを処方された患者を、PPIの併用あり群となし群に分けて臨床転機を比較する後ろ向きコホート研究を実施した。

 米国内127カ所の退役軍人病院にACSで入院し、2003年10月1日から06年1月31日の間に退院した患者のうち、退院以降にクロピドグレルを処方された8205人を分析対象とした。追跡は06年9月30日まで実施した。退院からの追跡期間の中央値は521日だった。

 クロピドグレルとPPIの処方期間が重複している場合を併用ありとした。

 主要アウトカム評価指標は、全死因死亡またはACSによる再入院(有害イベント)、2次評価指標は(1)ACSによる再入院、(2)血行再建術施行、(3)全死因死亡に設定した。

 クロピドグレルを処方された8205人中、退院時および/または追跡期間中にPPIを処方されていた患者が5244人(63.9%)いた。残りの2961人(36.1%)はPPIの処方を全く受けていなかった。PPI投与は、より高齢で併存疾患を抱えた患者に多かった。

 主要評価指標に設定された全死因死亡またはACSによる再入院は、PPIなし群で20.8%(615人)、PPIあり群で29.8%(1561人)の患者に発生した。

 多変量解析により、クロピドグレル単独群に比べ、クロピドグレル/PPI併用は、これら有害イベントのリスクを有意に上昇させることが明らかになった。人口統計学的特性、併存疾患、ACSの臨床像、適用された治療で調整したオッズ比は1.25(95%信頼区間1.11-1.41)だった。

 PPIを使用していた5244人の有害イベント発生リスクは、クロピドグレルと併用していた期間に最も高まった。PPI併用なしのクロピドグレル使用期間と比べた調整ハザード比は1.27(1.10-1.46)だった。

 2次アウトカムについては、クロピドグレル/PPI併用患者では、PPIなしのクロピドグレル使用者に比べ、ACSによる再入院(14.6%と6.9%、調整オッズ比は1.86、1.57-2.20)、血行再建術施行(15.5%と11.9%、調整オッズ比1.49、1.30-1.71)のリスクが有意に高かった。全死因死亡については有意差はなかった(19.9%と16.6%、調整オッズ比は0.91、0.80-1.05)。

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