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JAMA誌から
早産児にDHAを与えても神経発達に利益なし
オーストラリアでの無作為化試験の結果

 妊娠33週未満の出生は発達障害学習障害のリスクを高める。オーストラリアWomen's and Children's Hospital/Flinders Medical CentreのMaria Makrides氏らは、早産に対してドコサヘキサエン酸(DHA)を積極的に投与すると神経発達に利益がもたらされるのではないかと仮定し、無作為化試験を行った。しかし、調整月齢18カ月の時点の神経発達レベルは、標準的な量のDHAを投与されたグループと有意な差はなかった。詳細は、JAMA誌2009年1月14日号に報告された。

 早産児の発達障害の原因の1つは、胎内と異なり、適切な栄養が供給されないことにあると考えられていた。なかでもドコサヘキサエン酸DHA)は、脳内に存在する主な脂質であること、神経系で機能すること、妊娠後期の3カ月間に必要なDHAの量は50mg/kg/日を超える(総脂肪酸の約1%に相当)が、早産児に与えられる母乳や人工乳のDHA含有量は総脂肪酸の0.2~0.35%と少ないことから、早産児に投与すれば神経学的アウトカムの向上をもたらせるのではないかと期待されていた。しかし、これまでに行われた研究は、用いられたDHAの量が胎内でのレベルに届かないなどの問題を抱えていた。

 そこで著者らは、胎内にいた場合の供給量を反映するDHAを母乳や人工乳を介して投与し、神経発達に及ぼす影響を調べる無作為化二重盲検試験を実施した。

 2001年4月から2005年10月までに、オーストラリアの三次病院で、妊娠33週未満で出生した新生児を登録、高DHA(総脂肪酸に占める割合は1%)群と標準DHA(総脂肪酸に占める割合は0.3%)群に割り付けた。

 高DHA群に割り付けられた早産児に母乳を与える母親には、DHAリッチなツナオイルカプセル(500mgを1日6カプセル)の服用を依頼した。これで、母乳中のアラキドン酸濃度を変えることなくDHA濃度をほぼ目標値まで上昇させることができた。

 対照群の母親には、母乳の脂肪酸の組成を変えない大豆油カプセル(500mgを1日6カプセル)の服用を依頼した。

 人工乳の場合には、高DHA群のDHA濃度は1%に、アラキドン酸は0.6%に調整。標準DHA群には、DHA濃度0.35%、アラキドン酸0.6%の通常の人工乳を用いた。

 介入は当初の出産予定日まで継続し、それから小児を18カ月後まで追跡した。

 主要アウトカム評価指標は、修正月齢18カ月の時点のBayley精神発達尺度(MDI)のスコア(Bayley Scales of Infant Development, Second Edition :BSID-II)に設定。この尺度は、記憶、習慣、問題解決、数の概念、言語能力などを評価するものだ。2次アウトカム評価指標の1つとして、精神運動発達尺度(PDI)を用いた。

 MDIスコアとPDIスコアは、平均を100、標準偏差を15とする正規分布に基づく換算表を用いて標準化した。性別、出生体重(1250g未満と1250g超)に基づくサブグループ解析も実施した。

 登録された早産児657人のうち、93.5%(614人、高DHA群は92.5%、標準DHA群は94.3%)が18カ月間の追跡を完了した。

 介入期間の中央値は9.4週、偽薬使用期間の中央値も9.4週だった。母親の服薬遵守率に有意差はなかった(介入群81.1%、対照群81.7%、p=0.88)。

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