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JAMA誌から
うつのある冠疾患患者の心血管イベントは運動で抑制可能?
1017人を対象とした前向きコホート研究の結果

 冠疾患患者のうつ症状は有害な心血管リスク上昇に関係することが知られているが、その機序は明らかではなかった。

 そこで、米San Francisco退役軍人医療センターのMary A. Whooley氏らが前向きコホート研究を行ったところ、冠疾患患者にうつ症状があるとその後の心血管イベントリスクは1.5倍になるが、身体活動量低値を含む行動要因で調整すると、リスク上昇は認められなくなることを明らかにした。これは、うつ症状のある患者が運動を中心とする行動改善に取り組めば、心血管イベント発生を予防できる可能性を示唆する。詳細はJAMA誌2008年11月26日号に報告された。

 著者らは、安定型冠疾患で外来を訪れた1017人を対象に、Heart and Soulスタディを実施。2000年9月11日から2002年12月20日まで、サンフランシスコのベイエリアの12施設で、以下の条件(心筋梗塞歴、冠動脈の1カ所以上に50%以上の狭窄あり、運動誘発性虚血あり、冠動脈血行再建術の施行歴あり、冠動脈疾患の診断)を1つ以上満たす患者を登録した。追跡は2008年1月12日まで行った(平均追跡期間4.8年)。

 ベースラインのうつ症状は、9項目からなるうつ質問票(Patient Health Questionnaire:PHQ)を用いて評価した。スコアの合計は0~27ポイントで、10未満をうつ症状なし、10以上をうつ症状ありに分類した。

 ベースラインで全員に心エコー検査を行い、左室駆出分画(LVEF)を求めるなどして、心疾患の重症度と心血管危険因子について評価した。

 うつ症状と心血管イベントの関係に影響を与える可能性のある生物学的要因として、24時間心電図記録をとり、24時間尿のノルエピネフリンとコルチゾールの排泄量を求めた。また、採血して、全血セロトニン値、高感度CRP、オメガ3脂肪酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸などのレベルを測定した。

 行動要因としては、喫煙、飲酒、服薬遵守、身体活動量などの状態を本人に尋ね、自己申告に基づいて評価した。年齢、性別、人種、教育歴、医療歴、身長、体重、BMI、医薬品の使用などに関する情報も得た。

 心血管イベント(心不全、心筋梗塞、脳卒中、一過性脳虚血発作、死亡)発生については、年1回電話で接触し、特に心臓の問題に起因する入院の有無を尋ねた。イベントの報告があれば、医療歴や死亡証明書などを調べて確認した。

 ベースラインでうつ症状(PHQスコアが10以上)があった199人は、それ以外の818人に比べ年齢が若く(平均年齢は63歳と68歳、p<0.001)、男性の頻度が少なかった(76%と83%、p=0.02)。そのほか、喫煙、身体活動量低値、服薬遵守不良、BMI高値、併存疾患(心筋梗塞、心不全、糖尿病を含む)あり、抗うつ薬使用、24時間尿のノルエピネフリン排泄量高値、CRP高値、オメガ3脂肪酸低値といった特徴が認められた(すべて差は有意)。

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