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JAMA誌から
ベバシズマブ投与で静脈血栓塞栓症リスクが上昇
15件の無作為化試験を対象としたメタ分析の結果

 癌患者に広く用いられている新規血管新生阻害薬、ベバシズマブ(商品名アバスチン)の投与により、静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクが有意に上昇することが、米Stony Brook大学のShobha Rani Nalluri氏らによるメタ分析で判明した。詳細は、JAMA誌2008年11月19日号に報告された。

 ベバシズマブは、抗血管内皮増殖因子(VEGF)ヒト化モノクローナル抗体製剤で、大腸癌、非小細胞肺癌、腎細胞癌、乳癌などの治療に有効であることが示されている。これ以外の癌についての研究も現在進行中だ。

 ところが、最近、ベバシズマブによるVTEリスク上昇が懸念されるようになり、両者の関係を明らかにするための研究が複数行われてきた。それぞれの研究のサンプルサイズが十分でなかったことなどから、一貫した結果が得られていなかったため、著者らは、癌患者を対象とした無作為化試験の系統的レビューとメタ分析を実施した。

 まず、PubMedとWeb of Scienceを対象に、1966年1月から2008年1月までに英語で発表された文献を探した。また、2000年1月から2008年1月に米臨床腫瘍学会(ASCO)の会合で発表された研究のアブストラクトを調べて、関連する臨床試験を同定した。

 選出の条件は、癌患者を対象とする前向きの無作為化フェーズ2または3試験で、化学療法または生物製剤を用いる標準的な癌治療に加えてベバシズマブを投与した場合としなかった場合(偽薬または最適な支持療法を適用)を比較しており、VTEに関するデータが含まれているもの、とした。

 VTEのグレードは米国立癌研究所(NCI)のCommon Toxicity Criteriaに基づいて判定した。グレード2は介入が不要なVTE、グレード3は抗凝固薬投与から侵襲的処置までの介入が必要なVTE、グレード4は肺塞栓を含む塞栓イベントまたは生命を脅かす血栓症、グレード5はVTE関連死亡。それらのうち、グレード3以上を臨床的に意義のあるハイグレードVTEとした。

 15件の無作為化試験が選出された。フェーズ2が5件、フェーズ3が10件で、二重盲検試験は4件だった。大腸癌を対象とする試験が6件、非小細胞肺癌が4件、乳癌が2件、膵臓癌が1件、悪性中皮腫が1件、腎細胞癌が1件だった。

 15件の試験に登録されていた進行性固形癌患者は7956人で、4292人がベバシズマブ投与を受けており、3664人が対照群に割り付けられていた。

 あらゆるグレードのVTEについて分析可能だったのは、大腸癌、非小細胞肺癌、乳癌、腎細胞癌患者2279人を登録した6件の研究。ベバシズマブ投与群のVTEの罹患率は、3%(転移性腎細胞癌患者が対象)から19.1%(進行した大腸癌患者が対象)まで幅広かった。ランダム効果モデルを用いたメタ分析では、罹患率は11.9%(95%信頼区間6.8%-19.9%)となった。

 ハイグレードVTEの罹患率を報告していたのは、6962人を対象とする13件の研究だった。罹患率は2%(転移性腎細胞癌が対象)から17%(悪性中皮腫が対象)で、やはり幅広かった。ランダム効果モデルを用いてメタ分析を行うと、介入群の罹患率は6.3%(4.8%-8.3%)になった。

 データは限られていたが、グレードごとに介入群のVTE罹患率を求めた。3件の試験のデータからグレード3のVTEの罹患率を計算すると、2.9%(1.9%-4.3%)で、相対リスクは2.21(1.06-4.59)になった。5件の試験の結果に基づくグレード4の罹患率は2.1%(1.0%-4.3%)、相対リスクは0.75(0.44-1.27)だった。グレード5のVTEはまれで、3試験で介入群2人、対照群1人がVTE関連死亡と報告されていた。

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