日経メディカルのロゴ画像

JAMA誌から
注射薬物使用歴があっても多剤併用療法の生存利益あり
カナダの集団ベースの前向きコホート研究の結果

 HIVに感染した注射薬物使用者IDU)に強力な多剤併用療法HAART)が適用される頻度は低い。IDUが悪習慣を継続する限り、HAARTの利益は大きくないと考えられているからだ。しかし、集団ベースの前向きコホート研究の結果、HAARTの生存利益はIDUにも同様に見られることが示された。カナダBritish Columbia大学のEvan Wood氏の報告で、詳細はJAMA誌2008年8月6日号に掲載された。

 IDUにHAARTを適用しても期待するアウトカムは得られないことを示すデータは複数報告されているが、それらの研究の質は高いとはいえなかった。そこで著者らは、注射薬物使用歴のあるHIV感染者と、そうではない感染者がHAARTを開始して以降の生存率を長期的に比較することにした。

 対象となったのは、カナダのブリティッシュコロンビア州在住で、抗レトロウイルス薬使用歴のない18歳以上のHIV感染者3116人(579人が女性、年齢の中央値は39.4歳)。HAARTに用いられる抗レトロウイルス薬は無料で提供され、死亡した患者の死因は正確に判定された。

 登録者に対するHAARTは1996年8月1日から2006年6月30日の間に開始され、追跡は2007年6月30日まで継続された。追跡期間の中央値は、IDU群5.3年、非IDU群は4.3年。データ解析は2007年11月1日~2008年5月26日に行われた。

 主要アウトカム評価指標は全死因死亡に設定した。ベースラインで、全体の29.4%に相当する915人がIDUだった。非IDU群に比べIDU群では、HIV感染者治療経験が少ない医師を主治医としている患者の割合が高く(P<0.001)、女性が多く(P<0.001)、年齢も若かった(P<0.001)。

 追跡1年目の服薬遵守率95%達成者の割合は、非IDU群よりIDU群で低く(62.8%と40.7%、P<0.001)、男性に比べ女性で低かった(60.5%と37.8%、P<0.001)。これまでの報告と同様に、遵守率の高い患者で生存率は高かった。

 追跡期間中に622人(粗死亡率20.0%)が死亡した。IDU群232人、非IDU群390人。事故以外の原因で死亡した患者は535人、そのうち、HIV関連と見なされた死亡は373人(70.0%)だった。事故死は87人(14.0%)で、IDU群49人(21.1%)、非IDU群38人(9.7%)(p=0.003)。

この記事を読んでいる人におすすめ