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JAMA誌から
前立腺癌に対する1次抗アンドロゲン療法に生存利益なし
治療期間が長引くと死亡リスクが高まる

 早期の前立腺癌患者に抗アンドロゲン療法が1次治療として用いられるケースが増えている。1次抗アンドロゲン療法(PADT)は、低分化型前立腺癌以外の患者には、前立腺癌特異的生存、全生存のいずれにも利益をもたらさず、治療期間が長引くとすべての患者において死亡リスクが高まることが、集団ベースのコホート研究の結果、明らかになった。米国ニュージャージー州立医科歯科大学(UMDNJ) Robert-Wood Johnson医学部のGrace L. Lu-Yao氏らの報告で、詳細はJAMA誌2008年7月9日号に報告された。

 前立腺癌患者の約85%が、癌が局所に留まるステージT1-T2の段階で診断を受けている。標準治療には、手術、放射線治療、保存的管理(病気の徴候または症状により治療が必要になるまで観察に留める)などの選択肢がある。

 近年、ガイドラインで推奨されているわけではないが、標準治療の代わりに抗アンドロゲン療法が1次治療として用いられる頻度が高まっている。特に高齢患者においてこの傾向は明らかだ。実際、1999~2001年の調査でも、局所限局前立腺癌の治療においてPADTは、手術に続いて2番目に多く適用されていた。

 無作為化試験では、PADTをハイリスク患者に対し手術または放射線治療の補助療法として用いることを支持する結果が得られているが、早期にPADTのみを用いた、または1次治療としてこれを低リスク患者に用いた研究は、ほとんどないのが現状だ。

 PADTは、長期間継続すると、女性化乳房やのぼせが発生するだけでなく、骨折や糖尿病、冠疾患、心筋梗塞、心臓突然死などのリスクが10~50%上昇すると報告されている。さらにPADTの治療費は高く、米国では2003年にPADTに12億ドルが投入されたという。

 そこで著者らは、高齢の局所限局前立腺癌患者を対象に、PADTと生存期間の関係を調べる集団ベースのコホート研究を行った。データは、米国立がんセンター(NCI)の「Surveillance, Epidemiology and End Results」(SEER)プログラムのデータベースから抽出、メディケアのファイルと関連付けた。

 メディケアに加入している66歳以上の男性で、1992~2002年に診断された、ステージがT1-T2の局所限局前立腺癌で、外科的切除または放射線治療を受けていない患者1万9271人を分析対象とした。前立腺癌死亡については2004年12月31日まで、全死因死亡は2006年12月31日まで追跡した。

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