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STEMI疑い症例に対する心臓カテ検査は本当に必要か?
責任動脈なし、バイオマーカー陰性の患者にはカテーテル検査は不要

 急性心筋梗塞患者の救急管理において、ST上昇心筋梗塞(STEMI)患者のアウトカムには、再還流までの時間が大きく影響する。そのためSTEMIを疑う患者の病院到着からバルーン治療による血流再開までの時間(door-to-ballon時間)を短縮する目的で、心臓カテーテル検査を行うケースが増えているが、実際に心臓カテ検査はどの程度有用なのだろうか。

 ミネソタ経皮的冠動脈インターベンションPCI)ネットワークに加入している30病院から、要PCIとして心血管センターに移送された患者を対象に調べたところ、実際には梗塞責任動脈が見付からず、心臓バイオマーカーも陰性の患者が9.2%を占めることが明らかになった。米国Abbott Northwestern病院Minneapolis心臓研究財団のDavid M. Larson氏らの報告で、詳細はJAMA誌2007年12月19日号に掲載された。

 急性心筋梗塞患者の救急管理は、標準的な心電図が指標とされている。しかし、受診時の心電図だけから診断を下すことは困難であり、一刻を争う状態であることから心カテ検査が依頼されることが多い。著者らは、ミネソタPCIシステムの記録を利用して、不要な心カテ検査の実施頻度、原因やアウトカムを調べた。

 この地域では、PCI設備を持たない地元の30病院を受診した患者がST上昇または新規左脚ブロックを示してから24時間未満である場合に、各病院の救急部門の医師が、診断と共に、ネットワークの中心である3次心血管センターに検査を依頼するかどうかの判断を下すことになっている。PCIが必要と判断された患者は、心血管センターに移送される。

 2003年3月から2006年11月までにこのシステムを利用した患者は1345人。1048人が地域の病院から移送された患者で、残り297人は心血管センターを直接受診していた。

 心カテ検査は不要と見られた患者を、以下に3分類した。
1)ST上昇があるが責任動脈が見付からない
2)臨床的に意義のある冠疾患が見付からない(いずれの冠動脈も狭窄が50%未満)
3)心臓バイオマーカー(トロポニンTまたはクレアチンキナーゼMB)が陰性

 血管造影までに死亡した5人と、心臓専門医が血管造影をキャンセルした5人(3人はクレアチニン値上昇により、2人は症状が非定型で心電図は診断確定に不十分)を除いて1335人のSTEMI疑い症例に血管造影を行った。

 そのうち10人(0.7%)には複数の責任動脈が見付かった。また単一の責任動脈が同定された1138人(85.3%)のうち94%がPCIを、4%が冠動脈バイパス術を、2%が薬物療法を受けた。

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