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学会トピック◎第69回日本心臓病学会学術集会
治療抵抗性心不全や冠疾患の裏にTG代謝異常
国内の潜在症例は数万例も治療薬に目処

大阪大学の平野賢一氏

 心筋や冠動脈に中性脂肪が蓄積して重症の心不全、冠動脈疾患、不整脈などを呈する「中性脂肪蓄積心筋血管症」(triglyceride deposit cardiomyovasculopathy:TGCV)の研究が進展し、治療薬となるトリカプリンの開発も本格的に動き始めた。鳥取県米子市の会場とオンラインでハイブリッド開催された第69回日本心臓病学会学術集会(会期:9月17〜19日)で大阪大学大学院医学系研究科中性脂肪学共同研究講座の平野賢一氏は、2020年に改訂発表されたTGCVの診断基準や治療薬の開発状況を概説。国内だけで数万人の潜在患者がいると推定されており、「本疾患の周知と啓発が重要」と平野氏は強調した。

 TGCVは平野氏らが見出し、2008年にthe New England Journal of Medicine誌(NEJM 2008;359:2396-8.)に報告した疾患概念。正常な心臓であればエネルギー源となる長鎖脂肪酸を利用できず、中性脂肪として蓄積してしまうため、エネルギー不全と脂肪毒性による細胞・臓器障害が発生し、重症の心不全や冠動脈疾患、不整脈を呈する。心筋細胞や血管平滑筋細胞という異所性の中性脂肪蓄積が原因となるため、血清中性脂肪値や肥満度、BMIなどは診断的価値がない。

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